研究課題/領域番号 |
24500933
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研究機関 | 大阪産業大学 |
研究代表者 |
田川 由美子 大阪産業大学, 経営学部, 教授 (40207808)
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研究分担者 |
後藤 景子 奈良女子大学, その他部局等, 教授 (30243356)
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キーワード | 超音波洗浄 / 周波数 / 人工汚染布 / モデル洗浄系 / キャビテーション / 洗浄ムラ / 画像解析 |
研究概要 |
昨年度に試作した超音波洗浄試験機の性能特性を知るため,底面または側面から超音波を照射して液温上昇を調べた.その結果,いずれの方向とも電力量40Wを越えると温度上昇が認められ,同電力量では温度上昇はほぼ等しく,側面照射と底面照射とも超音波強度がほぼ同じであることが示唆された.また,ルミノール法により視覚的に超音波場を調べたところ,側面照射の方が底面照射よりもやや明るく,全体が発光し,キャビテーション現象が広範囲で起っていることが認められた. PETフィルムにモデル汚れ(カーボンブラック(CB),オレイン酸(OA))を付着させ,試作超音波洗浄機を用いてNaCl水溶液,NaOH水溶液,SDS水溶液中で洗浄実験を行った.PETフィルムは,超音波による音響流(直進流)で動かないように金属枠にはめて固定した.超音波は,底面(50 W)のみ,側面(50 W)のみ,底面(25 W)と側面(25 W)から同時に照射した.その結果,超音波の照射方向の違いにより洗浄率に大きな差は認められなかったが,底面(50 W)のみから超音波照射した場合洗浄率がやや高く,両面から同時照射した場合洗浄率が低く,超音波の干渉が洗浄性に影響していることが認められた.また,OAではSDSの添加効果が認められた.次に,モデル汚れを付着させた人工汚染布(CB,OA,JIS湿式人工汚染布)を洗浄したところ,いずれもSDSの添加効果が認められ,OAで顕著だった.洗浄率が60~75%の洗浄率のOA洗浄布の洗浄ムラを調べるため,洗浄布の画像解析を行った.その結果,照射方向の違いにより洗浄ムラに大きな差は認められなかった.すなわち,洗浄ムラを少なくするためには,洗浄率を上げることが必要であることが示唆された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
試作超音波洗浄機ではキャビテーションの発生をコントロールすることがより難しく,洗浄実験の再現性を高めることができなかった.
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今後の研究の推進方策 |
引き続き,試作超音波洗浄機を用いて洗浄実験を行う.①モデル洗浄系(フィルム,薄膜)を用いて,洗浄位置(振動子と被洗物の距離)を工夫することにより高い洗浄性が期待できる洗浄条件を調べる.②水溶液を攪拌しながら超音波照射した場合の,フィルムおよび布の洗浄性に及ぼす要因(攪拌速度,超音波照射方向など)を調べる. さらに,布洗浄における最適条件を提案するため,汎用超音波洗浄機(38 kHz および130 kHz),洗浄試験機(ターゴトメーター:大阪産業大学,ウェスケーター:奈良女子大学),家庭用電気洗濯機(たて型,ドラム型)を用いて湿式人工汚染布の洗浄実験を行い,布帛を洗浄する際の洗浄法を提案する.
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次年度の研究費の使用計画 |
これまでの研究の達成度が遅れているため. 水晶振動子システムの構築を図るため,消耗品を購入する.
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