研究課題/領域番号 |
24500934
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 畿央大学 |
研究代表者 |
東 実千代 畿央大学, 健康科学部, 准教授 (10314527)
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研究分担者 |
岡本 啓子 畿央大学, 教育学部, 教授 (10382300)
佐々 尚美 武庫川女子大学, 生活環境学部, 講師 (50379525)
萬羽 郁子 近畿大学, 医学部, 助教 (20465470)
久保 博子 奈良女子大学, その他部局等, 准教授 (90186437)
磯田 則生 奈良女子大学, その他部局等, 名誉教授 (60016871)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 熱中症 / 住環境 / 温度 / 湿度 / 日常生活習慣 / 皮膚温 / 睡眠 |
研究概要 |
近年、暑熱による健康障害、なかでも熱中症の発生が増加している。従来の職場や屋外での活動時における発生に加え、住宅内における発生率増加が著しく、その被害者の多くは高齢者である。本来、安全・安心が保障されるべき住宅内で痛ましい事故が多発している事態を受け、住環境・住まい方における問題把握と改善策を検討することが本研究の目的である。住環境の温熱・空気環境、温熱生理心理反応、睡眠環境、老齢看護の臨床、保健指導等を専門とする研究者を組織し、高齢者住宅における温熱環境実測、空調機器使用状況・住まい方・生活習慣の実態調査、活動量・生理反応の個人モニタリング等を分担して実施し、結果を総合的に分析することで環境改善と有効な予防的介入のありかたを提案したい。 平成24年度は、高齢者住宅における環境実態把握と生理量モニタリングを行うという計画通り、8月に奈良市シルバー人材センターを通して協力を募り(男性15名・女性15名の計30名)、日常生活習慣・暑熱対策・熱中症に関するアンケートを集合法により実施した。体組成・温冷覚閾値等の身体データ、人体周囲温湿度のモニタリングおよび温冷感・快適感の主観申告も併せて取得し、健康に日常生活を送っている高齢者の日常生活習慣および生理・心理反応のデータを得た。被験者のうち、女性については睡眠時脳波測定と睡眠に関するアンケートを、男性有志については人体皮膚温測定と日常生活行動調査を依頼し、それぞれ若齢女性、若齢男性との比較検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度は、高齢者住宅における環境実態把握と生理量モニタリングを行うという計画通り、質問紙調査、住環境温湿度実測、脳波、皮膚温の連続測定データを取得した。昨年度実施した主な調査結果概要は以下の通りである。 ・高齢者の暑熱対策は、換気や扇風機や日射遮蔽が主で、積極的にエアコン(クーラー)使用をしない傾向にあり、日常生活環境が高温であってもそれを許容する傾向があった。熱中症に関する知識や対策の不十分さがうかがえた。 ・環境温度・周囲気温の連続測定調査結果では、高齢者の生活環境の実態が把握できた。WBGT値は総じて高い傾向がみられた。高齢者の温冷覚閾値測定結果から感覚機能の低下が示され、対策が望まれる。 ・高齢者の皮膚温変化は若齢者と異なる反応がみられた。胸部皮膚温の変化が大きい傾向があり、事例数を増やし、引き続き検討する。 ・高齢者の寝室の温熱環境は快適範囲より高いケースが多く、睡眠の質では高齢者は若齢者より有意に入眠潜時および中途覚醒時間が長く、エアコン使用時間との関係が確認された。
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今後の研究の推進方策 |
高齢者の生活習慣・熱中症に関する知識について、今後は若齢者との比較が可能となるようデータの蓄積を図る。生理量については昨年度は男性皮膚温の経時変動データを取得できたので、今年度は女性の生理量データを取得する。昨年度の調査・実測データの解析と同時に効果的な介入の方法を検討し、必要に応じた追加調査を計画・実施する。
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次年度の研究費の使用計画 |
主に被験者謝金と実測に使用する消耗品の購入費に充てる予定である。24年度に研究分担者産休による研究中断のために発生した繰越金は女性高齢者被験者謝金に充てる。
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