研究課題
本研究最終年度は、情報提供や実験参加による意識づけが与えた影響を検討するため、過去2年間と同様のアンケート調査項目に、実践できる熱中症対策の項目を追加し、再度アンケートを実施した(有効回答:51(男性25、女性26))。過去の結果に比べ、口渇感によらず定期的に水分を摂取する割合、暑熱対策としてエアコンを使用する割合、部屋の温湿度を確認する割合が増加した。一方で、熱中症が起こりやすい時期や、冷やすと効果的な身体部位の認知には差がみられなかった。熱中症対策として実践できる内容(複数回答)は女性の回答数が多く、男女差がみられ、知識の定着を促す情報提供のあり方、意識の変化を継続的な環境調節行動や適切な生活習慣に繋げる工夫が必要と考えられた。生理量(皮膚温・心拍数)、活動量の実測については、高齢女性、若齢女性各1名を対象とし、夏期に同じ環境で行動を共にした条件で測定を行った。さらに、高齢男性1名を対象として四季を通じた測定を継続して行った。皮膚温については、過去2年間のデータを補足するため、若齢男性10名を対象として測定を行った。皮膚温の測定結果は、周囲環境の影響を受け、個人差が大きかったが、高齢者は若齢者と比較して部位別の温度差が小さく、躯幹部温度が低く、変動が大きい傾向があった。温熱環境と主観申告の関係は、高齢者は暑熱環境下にいる時間が長く、それを許容する傾向があった。就寝時の寝室環境が高温環境に維持されている事例もあり、自宅で過ごす時間が長い高齢者が、自身の体感にのみ頼る環境調節行動には注意を要する。今回の実測調査は日常生活環境下における継続的な測定であったため、被験者の負担を考慮し、日中の深部体温や発汗の測定を実施しなかったが、熱中症予防に向けた生活行動の提案に繋げるためには、把握する必要があると考えられた。
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