研究課題/領域番号 |
24500937
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 地方独立行政法人大阪市立工業研究所 |
研究代表者 |
吉村 由利香 地方独立行政法人大阪市立工業研究所, その他部局等, 研究員 (00416314)
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研究分担者 |
大江 猛 地方独立行政法人大阪市立工業研究所, その他部局等, 研究員 (10416315)
齋藤 守 地方独立行政法人大阪市立工業研究所, その他部局等, 研究員 (20416358)
北口 勝久 地方独立行政法人大阪市立工業研究所, その他部局等, 研究員 (30416359)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 該当なし |
研究概要 |
1)研究目的: LED照明による色違いの問題を解決するため、LED光源の標準化の検討を行い、LED照明下での製品の色彩を計算で予測するためのシステムを開発する。これにより,LED照明の演色性評価,LED光源による物体色の色彩計算を可能にする。 2)H24年度研究実施計画: LED光源の光学特性の測定ならびにサンプル物体色反射率の測定を行い、これらデーターと視感度曲線の値から色彩値を算出する方法を検討する。 3)H24年度研究実施内容: 青色発光ダイオードと黄色蛍光体による疑似白色LED、および赤・緑・青の発光ダイオードの組み合わせによる3色方式の白色LEDについて、その分光スペクトルを測定した。次に、サンプル物体色として、JIS規定の試験色R9~R12およびR15の基準色の反射率を得た。LED光源の分光分布、試験色の反射率データー、人間の視細胞の感度曲線を用いて、LED照明下での色彩パラメーターL*abを算出するためのプログラムを試作した。 4)得られた結果と意義・重要性: 色彩パラメーターは国際照明委員会で定められた基準光源(太陽光、蛍光灯、白熱球)の照明下でしか算出できないが、このプログラムによって、LED光源下での色彩計算が可能となり、LED照明による物体色の色ズレ方向、色ズレ量を人間の視覚に合わせて定量化することができた。シュミレーション結果から、青色ダイオードと黄色蛍光体による疑似白色LED光源では、赤系・青系の色相を持つ物体色について、LEDの分光分布に依存する大きな色ズレが発生することが認められた。これはLEDの分光曲線が450nm付近に非常に強く急峻なピークを持ち、かつ650nm以上のエネルギーが低いためと考えられた。そのため、LEDの標準光源は、これらの色相のズレを考慮したスペクトル分布で設計する必要性があることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
H24年度は、LED照明の標準化について検討するため、LED照明による物体色を計算するシステムの構築を目標とした。そのため、①LED光源の光学特性の測定、②サンプル試験色の反射率データーの測定、③LED照明下での物体色の色彩算出システムの作成について研究を行った。 上記①については、代表的な疑似白色照明用LEDおよびRGBタイプの高演色性LEDについて、光学測定を行った。②については、物体色の基準色となるJIS Z 8726の演色評価数計算用の試験色R9~R12およびR15の基準色(赤、黄、緑、青、肌色)の反射率データーを得た。③については、①及び②のデーターを用いて、LED照明下での物体色を算出するシステムを作成し、LED照明の分光分布が色ズレの方向性に及ぼす影響や色ズレ量の定量化を試みた。 このシステムを用い、LED光源の標準化のために重要となるLEDの分光スペクトルと物体色の色ズレの関連性について有用な知見を得ることができた。 以上の研究により、本年度の①~③の研究目標は達成された。
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今後の研究の推進方策 |
H24年度はLED光源の分光分布によって、特定の色相の物体色で著しい色ズレが発生するという結果を得た。そのため、H25年度は引き続き、LEDの分光分布が物体色に及ぼす影響について、さらに詳細な検討を行い、LED光源の標準化を設定するために必要なデーターを集める。 また、25年度以降の研究として、研究計画に従い、LED照明が光沢を持つ色彩に及ぼす影響について検討を行う。LEDは配光性が小さく,直下をまぶしく照らす性質がある。光沢を持つ物体では,LED照明との角度によって,通常の光源とは著しく異なった見え方になる。LED光源の配光特性と物体の光沢の測定から,光沢を有する物体色のLED照明下における見え方について検討する。また,LED照明器具は軽量化のためアクリルなどの高分子拡散板によって光を拡散させるが,長寿命のLEDにおいては,これらの樹脂の熱・光による白化や黄変などの経時変化が問題になる。このような拡散板の劣化が光源の性能や物体色の見え方に及ぼす影響について検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
今後の推進方策に従い、研究費の使用計画は以下のとおり。 【H25年度研究費の使用計画】①設備備品:光沢測定のために光沢度計を購入する(40万円)。②消耗品:紫外線劣化試験のためにキセノンランプを購入する(15万円)。光沢・蛍光色サンプル製作のため,光沢・蛍光色染色布色見本を購入する(15万円)。研究成果を論文発表するための別刷り代を計上する(10万円)。電気配線部品代・実験用ガラス器具代を計上する(5万円)。③旅費:資料収集・調査のための旅費、学会での成果発表の旅費および宿泊代を計上する(15万円)。 【H26年度研究費の使用計画】①消耗品:紫外線劣化試験のためにキセノンランプを購入する(15万円)。研究成果を論文発表するための別刷り代を計上する(10万円)。②旅費:学会での成果発表の旅費および宿泊代を計上する(15万円)。
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