研究課題/領域番号 |
24500940
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
長野 宏子 岐阜大学, (連合)農学研究科(研究院), 特別協力研究員 (40074984)
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研究分担者 |
鈴木 徹 岐阜大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (20235972)
村山 美穂 京都大学, 野生動物研究センター, 教授 (60293552)
井上 英治 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (70527895)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | パン / 発酵食品 / パン酵母 / Saccharomyces cerevisiae / 多型解析 |
研究実績の概要 |
紀元前から世界各地の人々はパンを食し、パン中の微生物は多種である。パンの発酵には、パン酵母Saccharomyces cerevisiaeが一般的に使われている。本研究は、世界各地から採集した「パンの欠片」に存在するS. cerevisiaeの遺伝学的解析の可能性を探ることを目的とした。 研究試料は、世界64ヶ国から1990年から2015年まで収集したパンの「かけら(907種類)」とS. cerevisiae保存菌株、市販天然酵母である。 研究方法は、1)パン微生物はライト染色液で染色し観察した。2)世界の「パン欠片」、 S. cerevisiae保存菌株および市販天然酵母からDNeasy Blood & Tissue Kit(QIAGEN)を用いてDNAを抽出した。3)S. cerevisiaeの多型マイクロサテライト6領域を増幅し、アリル頻度のデータから近隣接合法により、系統樹を作成した。 世界のパン欠片には多様な形態の微生物が存在し、パン酵母単独の形態が少なかった。データ解析の結果、パン欠片からもDNA抽出が可能であり、生菌と同じ結果を得た。S. cerevisiaeの多型は、乾燥の麦地帯や温暖な米地帯等の地理的要因が大きく、三つのグループに分かれた。S. cerevisiaeの多型はアジア文化圏で大きく、ヨーロッパ文化圏と続き、三番目は世界共通となった。多型の変化は、1990年から現代までの時間的要素に大きく関わり、現代になるとS. cerevisiaeの多型が少なく画一的になっていた。蒸す、揚げる、オーブンや石窯で焼く等があるが、調理法に比べ、地理的要因が大きいことが明らかになった。米食文化圏のベトナムやカンボジアやイモ食文化圏のガーナのパン酵母S. cerevisiaeは、ヨーロッパ文化圏に属しており、ヨーロッパから自国の食文化を他地域に持ち込んだことが考えられる。
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備考 |
照葉樹林帯の東南アジアを中心に伝統発酵食品のフィールド調査をおこなってきました。市場の様子、食材・料理や人々の暮らしの様子や本研究テーマの試料である世界のパンの写真を載せています。このホームページは科学研究費補助金経過報告書をもとに作っています。
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