大豆タンパク質混合系について、酸凝固、加熱凝固、多糖類添加の影響を検討した。 大豆タンパク質・米粉混合系について、豆乳・米粉・油脂からなるエマルションの酢酸添加によるゲル化の進行をレオロジー挙動から検討した。豆乳は、米粉の混合と酢酸添加によりpHが低下した。動的粘弾性の時間依存性より、豆乳に酸と米粉を混合することによりゲルを形成し、豆乳濃度が高く酢酸量が少ない場合はゲルが弱くなった。豆乳と米粉混合系に油脂の添加により、初期では豆乳のゲル化を抑制するが、その後はゲル化を促進することが推察された。これは不活性フィラーとして作用していた油滴が、その後活性フィラーとして作用したことが推察された。 大豆タンパク質と米粉の混合比率の異なる試料による加熱凝固の影響を動的粘弾性測定、示差走査熱量計(DSC)より検討した。大豆タンパク質比率が高く、米粉比率が小さいほど、ゲル化開始時間が短くゲルの平衡値は高くなった。DSC測定温度範囲内で、米粉は65℃付近に吸熱ピークが認められたが、大豆タンパク質ではピークは見られなかった。 加熱温度は60℃では大豆タンパク質の加熱による影響が大きく澱粉の影響は小さく、70℃ではタンパク質変性と米粉糊化が起こるが、大豆タンパク質の吸水の影響が大きく澱粉の糊化は抑制され、80℃では大豆タンパク質の変性によりゲルが強固する挙動がみられた。 大豆タンパク質・多糖類混合系による酵素への影響を動的粘弾性測定より検討した。大豆タンパク質は酵素により分解されるが、多糖類混合により酵素反応が遅延した。ゼロずり粘度が同じ場合、多糖類の分子量が小さく濃度の高い方が大豆タンパク質の分解が遅延することが推察された。大豆タンパク質の酵素による影響は咀嚼状態について筋電位より検討した。これらの結果は大豆タンパク質を含む食品の食感改良に役立つことが期待できる。
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