研究課題
本研究では、炎症や癌の惹起に関わる脂質メディエーターのPGE2合成系をターゲットとした食品機能性の探索を行ってきた。これまでの実験から、自然薯抽出物によるシクロオキシゲナーゼ(COX)-2と膜結合型PGE合成酵素(mPGES)-1の発現抑制によって、PGE2産生低下にともなう抗炎症・抗腫瘍効果を、癌や炎症のモデル細胞、あるいは、炎症をともなう皮膚癌モデルマウスにおいて明らかにした。皮膚癌モデルマウスにおいては、自然薯の経口摂取と抽出物塗布のいずれでも、COX-2とmPGES-1の発現抑制と腫瘍形成抑制や炎症性細胞の浸潤低下ならびに、炎症性サイトカインや炎症性脂質メディエーターの産生低下が明らかとなった。さらに、大腸癌モデルとアトピー性皮膚炎モデルに対する効果についても実施し、現在解析中である。このような効果を有する自然薯抽出物から、その効果に寄与する機能生成分を同定するために、各種クロマトグラフィーを用いて分析したところ、少なくともCOX-2に対する効果を有する成分は2つ存在した。その一つが植物ステロールのジオスゲニンであることを明らかにし、効果を検証したところ、COX-2に対しては発現抑制効果を有するものの、その程度は自然薯抽出物よりも弱く、また、mPGES-1に対しては有意な効果が認められなかった。このことから、自然薯抽出物で観察された効果は、いくつかの機能性成分の複合的な効果であることが考えられ、現在さらに別の機能生成分についても分析を進めているところである。
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