研究課題/領域番号 |
24500949
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研究機関 | 県立広島大学 |
研究代表者 |
佐藤 之紀 県立広島大学, 生命環境学部, 教授 (50226015)
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キーワード | 水和 |
研究概要 |
パラメー夕αは、モル分率(Xs)と水分活性(Aw)の関係から得られる溶媒-溶質分子間相互作用を表すパラメータで、Raoultの法則からのずれの度合を示す。新たにパラメータαが求められていない糖の値を加えてパラメー夕αとエクアトリアルOH基の関係を考察した。さらに、パラメータαと食品の酵素活性調節の関係を調べた。 文献値にパラメータα値が記載されていないガラクトースのパラメータαを求めたところ,化学構造が近似しているグルコースのα値よりは小さい負の値を示し,マンノースと比べた場合でもややより小さかった。また、ガラクトースを含む糖のパラメー夕α値とエクアトリアルOH基数の関係をプロットしたところ,高いR2値を示す一次式に近似できた。 次に、蒸留水に浸漬させた本学農場産のりんご(ふじ)の表面の色を経時的に測定したところ、りんごの表面は赤みを帯びa*値は増加した。そこで、各種の糖水溶液でりんごを浸漬し,一定時間後にとり出して保存した結果,りんごの表面のa*値は,蒸留水に浸漬させた場合よりも低い値となったことから,糖へ浸漬させたことによりリンゴ表面の色の変化を抑え、ポリフェノ-ルオキシターゼ活性を低下させていることが考察された。このことから,パラメータαとりんごの表面のa*値との関係には検討を必要とするものの,パラメー夕αが大きな負の値をとる糖水溶液にりんごを浸漬させると,りんごの表面の色の変化を抑える可能性が出てきた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
パラメータαの精度向上を目指した試作機の感度の問題に関して不安定さが残る点で,今一度検討が必要であるが,おおむね順調である。完成年度にももう少し実験を継続する必要が出てきた。
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今後の研究の推進方策 |
試作機の感度の問題に関する実験をもう少し継続する。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初計画していた食品の蒸気圧を直接測定する機器の精度に問題があることが判明し,自作機を作製することになった。一方,高感度水分活性計の適用を今まで進めてきているが,高水分活性の領域では不安定な面があることがわかりつつある。そのため,経費の繰り越しとなっている。 継続して,自作機の安定性を検討すると同時に,高感度水分活性計の適用に工夫を凝らしていきたい。
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