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2012 年度 実施状況報告書

脂肪摂取量低減を目的とした卵黄O/Wエマルションの加熱によるゲル形成機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 24500950
研究種目

基盤研究(C)

研究機関県立広島大学

研究代表者

杉山 寿美  県立広島大学, 人間文化学部, 教授 (10300419)

研究分担者 木村 留美  広島文教女子大学, 人間科学部, 講師 (20368773)
原田 良子  鈴峯女子短期大学, その他部局等, 講師 (30626114)
研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワード脂肪 / エマルション / 卵黄 / 加熱 / ゲル
研究概要

脂肪を多く含む調理加工品では卵黄の乳化特性が利用され,著しくなめらかで濃厚なテクスチャーの製品が多く流通している。しかし,卵黄によってエマルションを形成後に加熱を行う実際の調理加工過程におけるゲル形成機構および特有のテクスチャーを有するゲル構造については明らかでない。24年度は,ベークドチーズケーキを試料として卵黄の役割を明らかすることを目的として実験を行った。
チーズケーキの配合はクリームチーズ80g,乳脂肪クリーム40g,全卵20g(卵黄7g,卵白13g),砂糖30g,コーンスターチ3g,レモン汁5gとし,全卵を卵黄(7g,20g)あるいは卵白(13g, 20g)に置換したもの,卵を配合していないものも調製した。乳脂肪クリーム量を増減したものも調製した。チーズケーキの性状は静的粘弾性測定と官能評価によって,チーズケーキの構造は動的粘弾性測定(応力・周波数依存),冷却遠心分離による分画と脂質分析(脂肪量,Pl-Pi)から把握した。
少量の卵黄(7g)が含まれた場合,なめらかで,濃厚であり(官能評価),凝集性,付着性が高かった(静的粘弾性)。また,少量の卵黄が含まれた場合,卵を配合していない場合に,乳脂肪クリーム配合量が多くなるほどG’,G”の値が大きく,周波数依存性が小さくなり,ゲル的性質が強くなった(動的粘弾性)。冷却遠心分離による分画では,少量の卵黄を配合した場合に,クリーム画分に含まれる脂肪量,PL-Pi量が少なく,遊離脂質画分,懸濁液画分,沈殿画分に多く分画された。これらの結果から「少量の卵黄配合」が,乳脂肪球を分散させ(乳化性),焼成過程でゲルの安定性を低くし,ゲル的性質を弱くすること,さらに,乳脂肪球の凝集,合一,崩壊を生じさせ,乳脂肪球から遊離した脂肪が焼成後のチーズケーキの付着性等に関与し,濃厚で,なめらかなテクスチャーを付与していることが示された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本申請研究は,卵黄O/Wエマルションの加熱によるゲル形成機構の解明し,脂肪摂取量を低減することを目的としている。具体的には,(1)卵黄の乳化特性により形成されたエマルションの油水界面構造を形成している脂質やたんぱく質が,加熱過程においてどのように変化するのか,(2)その結果,エマルションはどのように変化しゲル構造を構築するのか,(3)そのゲル構造がゲルの性状にどのように寄与しているのか,(4)特有の性状を維持しつつ油脂配合量を減少させる方法はなにかという課題に取り組んでいる。
「研究実績の概要」に記述したように,24年度はベークドチーズケーキを試料として,その特有のテクスチャーが少量の卵黄配合によって生み出されることを明らかとした。この結果は,油脂を多く含むことで生み出される特有のテクスチャーを維持しつつ,油脂配合量を減少させた調理加工品を検討しようとする本研究の基盤となる結果であり,本研究は順調に進展しているといえる。

今後の研究の推進方策

H25年度は,卵黄でO/Wエマルションとした生地を「攪拌加熱するオムレツ」を試料として,H24年度のチーズケーキと同様の実験を行う。実験手法は24年度と同様であるが,「オムレツ」は攪拌を伴う加熱であるため,試料調製の再現性確保は困難であると考えられたが,現在までに再現性が確保されることを確認している。そのため,当初の計画どおりに研究が進行すると考えられる。

次年度の研究費の使用計画

次年度繰越金は39円であり,ほぼ予定通り,研究費を使用している。故に,次年度も当初の計画どおりの研究費を使用する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] ベイクドチーズケーキの濃厚でなめらかなテクスチャーに及ぼす卵黄の影響

    • 著者名/発表者名
      水尾和雅 大上安奈 杉山寿美
    • 学会等名
      日本家政学会
    • 発表場所
      大阪市立大学

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公開日: 2014-07-24  

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