研究課題/領域番号 |
24500951
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研究機関 | 福岡女子大学 |
研究代表者 |
舟木 淳子 福岡女子大学, 人間環境学研究科, 准教授 (60219079)
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キーワード | テクスチャー / 酵素 / プロテアーゼ |
研究概要 |
日本は超高齢社会となり,咀嚼・嚥下困難者が増加しているが、誰もが食べ物を口からおいしく摂取できることが望まれている。本研究はこれを実現するために必要な調理方法を示すことを目的としている。平成25年度はタンパク質ゲルのテクスチャーの変化の詳細を検討し、変化の原因の追及を行った。また、魚介や大豆加工食品への応用を試みた。 1.タンパク質ゲルにプロテアーゼを作用させ、ゲルの構造がどのように変化したかを、走査電子顕微鏡により観察した。 2.ゲル中のタンパク質のネットワークの変化を、共焦点レーザー顕微鏡により観察した。 3.ゲル中のタンパク質をSDS-PAGEにより観察したところ、タンパク質の顕著な分解が見られた。 4.魚介や大豆加工食品(凍り豆腐、油揚げなど)にプロテアーゼを作用させたところ、テスクスチャーに変化が見られた。プロテアーゼ処理した凍り豆腐について、クリープメータを用いた破断強度解析を行い、得られた応力-歪曲線によりテクスチャーを評価したところ、対照(プロテアーゼを使用しないこと以外は同様に処理したもの)よりやわらかいと判断された。このとき、凍り豆腐のタンパク質の分解がSDS-PAGEにおいて観察された。また、油揚げにプロテアーゼを作用させたところ、同様にクリープメータを用いた破断強度解析により対照よりやわらかくなったと判断され、油揚げのタンパク質の分解がSDS-PAGEにおいて観察された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
タンパク質ゲルのテクスチャー変化の原因の追及について、順調に研究を進めている。また、魚介や大豆加工食品への応用も試みることができた。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は、1.タンパク質ゲルのテクスチャー変化の原因の追及や、2.魚介や畜肉等、ゲル以外の食品への応用を中心に行う予定である。 1.タンパク質ゲルのテクスチャー変化の原因については、各種ゲルの構造を走査電子顕微鏡により観察しているが、これについて新たな方法を試みる予定である。また、透過電子顕微鏡によるタンパク質ネットワークの構造変化の観察も行う予定である。 2.これまでの本研究で、プロテアーゼを作用させたときにタンパク質ゲルの外観に大きな変化がなかったことを生かして、魚介や畜肉等への応用については、やわらかくて食べやすく、食欲がわく外観の食品を作製していく。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度の研究では、当初の予定より試薬等が少量で実験が行えたなどの理由から、“次年度使用額”が生じた。 平成26年度の研究では、新たな実験方法を試みるため比較的価格の高い試薬等を各種使用する予定であり、平成25年度の“次年度使用額”もあわせて使用する。
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