研究課題/領域番号 |
24500952
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 十文字学園女子大学 |
研究代表者 |
小谷 スミ子 十文字学園女子大学, 人間生活学部, 教授 (60018653)
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研究分担者 |
城 斗志夫 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (00251794)
山口 智子 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 准教授 (70324960)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | グルテンフリー / 米粉パン / 玄米粉 / GABA / 抗酸化性 / 比容積 / 流動特性 |
研究概要 |
【目的】本年度は、「①栄養成分や機能性成分を多く含む玄米粉を使用したグルテンフリー米粉パンの製造条件、②製造の各段階におけるGABAの消長、③玄米粉添加割合が異なる米粉パンの抗酸化性評価、④グルテン代替増粘剤ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMCと略)及びメチルセルロース(MCと略)添加米粉パン生地の流動特性」を検討することを目的とした。【方法】材料:白米粉は平成23年度新潟産コシヒカリのDKタイプ(新潟製粉㈱)、玄米粉は同上コシヒカリの粉(㈱新生バイオにて製粉)を用いた。HPMCとMCはメトローズSFE、NE、MCE-4000(信越化学工業㈱)を用いた。①製造条件:白米粉パンで確立した製造条件に基づき、加水量、HPMC濃度、発酵時間と焼成時間の検討を行った。②GABAの測定:HPLC法によった。③抗酸化性の測定:総ポリフェノール量、DPPHラジカル捕捉活性、ORAC値を測定した。④粘度:米粉パン生地をE型粘度計で測定した。【結果・考察】①玄米粉添加割合が増えるに従い比容積は減少した。玄米粉100%では最適条件で約2(ml/g)であったことからさらなる検討が必要である。②製造の各段階におけるGABA量は、玄米粉+イーストに対し生地混合後2.5倍、1次発酵後3.8倍、2次発酵後3.1倍、焼成後2.2倍であった。③玄米粉の抗酸化性は白米粉より有意に高く、総ポリフェノール量は約22倍、DPPHラジカル捕捉活性は約40倍、ORAC値は約10倍であった。④増粘剤添加米粉パン生地の流動特性は特徴的な挙動が見られ、高濃度ではチキソトロピー性を低濃度では逆チキソトロピー性を示した。チキソトロピー特性値、ベキ法則の定数およびCasson降伏値はいずれもMCE>NE>SFEの順であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度は、玄米粉を含む白米粉にグルテン代替効果のあるHPMCを添加したグルテンフリー米粉パンの最適な製造条件を見出すことと置換度の異なるHPMCを添加した米粉パン生地の流動特性を明らかにすることが研究の目的であった。最適な製造条件を見出すために、原材料の配合割合(特にHPMC添加量と加水量)、製造工程中のミキシング強度・時間、1次発酵温度・時間、2次発酵温度・時間および焼成温度・時間を検討した。用いた玄米粉は澱粉の損傷度が高い製パン性の悪いものであったため、比容積の十分なパンの製造ができず最適条件を見出せなかった。米粉パン生地の流動特性については特徴的な挙動を見出すことができ、有益であった。 次年度に計画していた玄米粉パンに含まれる機能性成分GABAの製造の各段階における消長と抗酸化性の評価を前倒しして検討したところ、両項目について興味深いデータが得られた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は次に示すテーマについて検討する。①グルテンフリー玄米粉パン製造の最適条件を見出すために、粒度分布や澱粉損傷度の異なる玄米粉や米糠を配合した白米粉を用いて検討を進めていく。②生地づくりはおいしいパンを作るための最大の決め手であることから、生地の状態と焼成後の米粉パンの関係を検討する。③玄米粉を添加したグルテンフリー米粉パンの製造工程における呈味成分(糖、アミノ酸)および機能性成分(GABAなど)の消長を検討し、関与する酵素の動態を明らかにする。④米糠(生糠、軽く煎った糠、深煎り糠)を配合した玄米粉パンの抗酸化性を評価する。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度の研究は計画通りに進みましたが試薬や器具の購入額が当初予定より少額で済んだため研究費を繰り越すことになりました。次年度の研究は、繰越金額と平成25年度の金額を合わせた研究費を、試料、試薬、器具、書籍、文具などの消耗品、日本家政学会、日本食品科学工学会発表のための旅費および論文投稿料として使用する計画です。
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