研究課題/領域番号 |
24500957
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 大阪樟蔭女子大学 |
研究代表者 |
安藤 真美 大阪樟蔭女子大学, 学芸学部, 准教授 (50234183)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 野菜 / 果物 / 氷温 / フラクタン |
研究概要 |
(目的)本研究では果実・野菜類を材料とし,それらに氷温貯蔵を施すことにより低温ストレスによる多糖類の分解を促進させ,風味の改善をめざす。この操作による甘味の向上は報告されているが,細胞壁など主要な構造物には変化が認められていないことから,多糖類の中でも含有量が少ないフラクタンの量的な変化に焦点をあて,その分解産物などによる風味改善への関与を明らかにする。これらにより,氷温貯蔵を活用した安全・安心な食材の提供とブランド化への貢献をめざす。 (方法)試料としては,果実としてスイカ,野菜としてトマトを用いる。これらの氷結点は約-2℃であることがわかっていることから,貯蔵温度を-1℃に設定し,氷温貯蔵を最長1ヵ月間にわたって行う。その間,1週間ごとにサンプリングを実施する。また対照区として冷蔵(4℃)も行う。この際,評点法による官能検査を行い,その時点での甘味の強さを評価する。官能検査員は申請者の所属機関の4年生約20名で行う。また,試料からエタノール可溶性画分を分離し,遊離態のフラクタンおよび遊離アミノ酸の含量を調べる。 (結果)官能評価において、-1℃貯蔵のトマト・スイカでは貯蔵期間の延長に伴い「甘さ」を含む評価が有意に上昇したが、0℃では大きな変化は認められなかった。しかし、糖類の量は0℃において最も大きな上昇を示したことから、氷温貯蔵により生じた甘さの評価の上昇には、糖類以外の物質による甘さの増強効果が生じている可能性が推察された。さらに、-1℃貯蔵のスイカは有意にフラクタンが減少したため、このフラクタンの分解物が官能検査において認められた甘味の強さに影響したと推察された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成24年度の結果より,数種の野菜・果物を氷温貯蔵することで重量の減少抑制効果や,官能的な甘さの増加が認められ,保存性の向上と高品質化が同時に実現された。しかし、その原理についての解明が推定が出来たものはスイカのみであるため、平成25年度以降の課題である。
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今後の研究の推進方策 |
まず平成24年度のスイカ,トマトに続き,有効と思われる貯蔵条件を活かしてその他の野菜類・果実類について対象試料を拡大し平成24年度と同様の実験を行う。 次に,遊離糖類あるいは遊離アミノ酸等の増加が認められた場合,植物に含まれる多糖類あるいはタンパク質の分解が氷温貯蔵中に生じていることが予想される。多糖類の主な供給源は細胞壁であることから,そこに構造的変化が生じている可能性があるが,光学顕微鏡による観察では変化を認めていない。しかしながら,さらに微小な構造については観察が行われていない。そこで,透過型電子顕微鏡による組織観察を行い,細胞壁付近を中心に貯蔵時間ごとの構造を比較する。なお植物の透過型電子顕微鏡観察においては,これまでに申請者が観察対象としてきたイカ類とは異なる試料作製技術が必要となるため,(地独)大阪市立工業研究所 畠中芳郎先生に研究協力者として技術支援をお願いする。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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