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2012 年度 実施状況報告書

小麦澱粉の糊化過程におけるリン脂質の動態と物性との関係

研究課題

研究課題/領域番号 24500961
研究種目

基盤研究(C)

研究機関山陽女子短期大学

研究代表者

石永 正隆  山陽女子短期大学, その他部局等, 教授 (70110765)

研究分担者 杉山 寿美  県立広島大学, 人間文化学部, 教授 (10300419)
研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワードでんぷん / 小麦 / RVA / 糊化 / リゾレシチン
研究概要

A.小麦澱粉の糊液の粘度上昇中に、水飽和ブタノール(WSB)による常温抽出画分のリゾレシチン(LPC)量が、熱抽出画分より著しく高くなることを既に報告している。
本研究では、この要因を解明するための以下の実験を行った。その前提として、澱粉粒の緻密な構造内に埋もれていたLPCが澱粉粒の膨潤時に抽出されやすくなったと推測し、澱粉の温水処理(48℃24時間)あるいは湿熱処理(密封でオートクレーブ処理を20分あるいは2時間)を行った。これらの処理により、澱粉粒内でLPCがより緻密に組織化された状態になって、常温では抽出されないのではないかと考えたが、結果は無処理の場合と全く変わらず、粘度上昇中の糊液では常温抽出のLPC量は熱抽出より著しく高かった。
もう一つの可能性として、澱粉粒の膨潤時に澱粉粒から液相にLPCが漏出してくるのでは無いかと考え、WSBではなく、メタノールあるいはエタノールで抽出を試みた。結果は、粘度上昇中の糊液からのメタノールやエタノールによるLPCの常温抽出量は低く、生澱粉のWSBによる常温抽出量と同じかそれ以下であった。
以上の結果から、澱粉粒内の遊離のLPCがアミロースと複合体を形成することはないと推測され、糊化・粘度上昇中に常温抽出されるLPCは遊離の状態で澱粉粒の構造体に存在しているのでは無く、アミロペクチンと結合している可能性が示唆された。あるいは、漏出したLPCがメタノールやエタノールによって凝集した澱粉に取り込まれ、常温で抽出されなかった可能性もある。
B.モチ性小麦粉もち姫の糊化過程におけるリゾリン脂質の動態を調べた。粉の場合に熱抽出されていたリン脂質が糊化後ゲル化した糊液の熱抽出画分に回収されなかった。このことはアミロースが含まれていないことによると考えられた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

実験の時間が十分取れなかった。その理由として、①学長職に就いたこと、②RVA装置が9月上旬に輸入・設置され実験開始が遅れたこと、③これまで小麦澱粉を提供してくれていた会社が提供できなくなり、新たな会社から試料を提供してもらった。そのため、従来と同様の結果が得られるかの確認の実験を行わなければならなかったこと。
時間的なことを除けば、実験そのものはほぼ計画通りに進行中である。ただし、結果は予想と反した展開になった。
その結果、新たな実験計画を立てることとなった。

今後の研究の推進方策

1.引き続き、糊液の粘度上昇中に、水飽和ブタノールによる常温抽出画分のリゾレシチン(LPC)量が、熱抽出画分より著しく高くなる要因を探る。①メタノールやエタノールの割合が低い水溶液による抽出を試みる。②乾熱処理により澱粉粒表面をより疎水性を高くしたときに、LPCの常温抽出量が影響を受けるかどうか調べる。③アミロペクチンとLPCの相互作用を調べる。
2.当初の計画に従い、小麦澱粉の糊化→ゲル化において、①レシチンの熱抽出画分への取り込み条件を調べると同時に②アミロース含量の割合がレシチンの取り込みにどのような影響を与えるかを調べる。
3.アシルPEとアミロースの複合体形成能に関する実験は、上記実験の進み具合による。

次年度の研究費の使用計画

試薬等物品費  100000円
学会旅費    60000円
人件費・謝金 40000円

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2013

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] モチ性小麦粉と市販小麦粉の糊化過程におけるリン脂質の動態の比較2013

    • 著者名/発表者名
      石永正隆,原田良子,大濱恵,松田悠衣,杉山寿美
    • 雑誌名

      山陽女子短期大学紀要

      巻: 第34号 ページ: 9-18

  • [学会発表] 糊化過程におけるリン脂質の動態-粘度上昇中におけるリゾレシチンの存在状態について-2013

    • 著者名/発表者名
      原田良子,石永正隆,杉山寿美
    • 学会等名
      日本調理科学会
    • 発表場所
      奈良女子大学
    • 年月日
      20130823-20130824

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公開日: 2014-07-24  

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