食品のテクスチャーは食べている間に大きく変化するため、テクスチャー評価は摂食過程と関連づけて行う必要がある。本課題では、摂食過程に時系列的に対応したテクスチャー用語体系を構築し、官能評価に応用することを目的とした。これまでに、摂食動作を3パターン(歯による咀嚼が必要/舌と口蓋で処理/口腔内処理せずに嚥下)に分類し、それぞれのパターンで摂食段階を設定した(5段階/4段階/4段階)。今年度は、各テクスチャー用語がいずれの摂食パターンのいずれの摂食段階に対応するかという関連付けを完成させるとともに、各用語について摂食時系列の情報を迅速に参照できるよう、用語検索システムを作成することも検討した。 質問紙調査を実施したところ、テクスチャー用語445語のうち数十語は、描写する食べ物によって摂食パターンや摂食段階の対応が異なる可能性があることが示された。そこで、すでに行った調査によって得ている用語が描写する候補食物のデータから、妥当であると考えられる組み合わせ(「ねばねば」-「納豆」等;7361組)を抽出した。それぞれについて、分析型パネルへの質問紙調査、専門家パネルへの質問紙調査およびインタビューによって、用語が対応する摂食段階を明らかにした。さらに、これらのデータを簡易検索できるシステムを作成した。 作成した摂食過程に時系列的に対応したテクスチャー用語体系と検索システムを利用し、焼きおにぎり等、いくつかの食品試料について官能評価を設計し、その有効性を確認することができた。
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