研究概要 |
大豆に含まれる酵素リポキシゲナーゼに着目し、短波帯ブランチング処理による大豆のリポキシゲナーゼの効率的な失活について検討した。大豆(秋田2012年産、りゅうほう)100gを6倍量の蒸留水に5℃, 14時間浸漬した。浸漬した大豆に350mLの蒸留水を加えたものを試料とした。通常の加熱方法として、試料を500mLのメジューム瓶に入れたものを95℃に設定したオートクレーブ内で25分間加熱し、大豆中心部に挿入した温度計で95℃に達したことを確認した。短波帯交流電界処理は、試料を150x150mmの2枚のチタニウム板電極間50mmに充填した。27MHz, 2.0kWの短波帯交流電界を2分間印加し、大豆の中心に挿入した光ファイバー温度計の温度が95℃に到達したことを確認後、速やかに冷却した。処理した大豆を煮汁とともに破砕したサンプルのタンパク質量、水分、トリプシンインヒビター活性、リポキシゲナーゼ活性を測定した。加熱せずに搾汁した豆乳のリポキシゲナーゼ活性およびトリプシンインヒビター活性を100%としたとき、処理後のリポキシゲナーゼ活性は、オートクレーブ加熱処理後29%、短波帯処理後27%と同程度に低下した。一方、トリプシンインヒビター活性は、オートクレーブ加熱処理後1%、短波帯処理後51%であった。今年度の成果として、以下のことが明らかとなった。 1. 短波帯ブランチング処理により、固形食品の中心部の温度を素早く昇温することが可能である。 2. 短波帯ブランチング処理は、大豆を粉砕することなく大豆リポキシゲナーゼを短時間で失活することが可能である。 3. 短波帯ブランチング処理は、従来の加熱処理よりも昇温時間(加熱時間)が短縮されたことから、たんぱく質(トリプシンインヒビター)の熱変性が少ないと考えられる。
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