大豆に含まれるリポキシゲナーゼ(LOX)が不飽和脂肪酸を酸化して過酸化脂質となり、ヒドロペルオキシドリアーゼにより、青臭み成分であるn-Hexanalが生成されることが知られている。以上の酵素反応は大豆の圧搾後、速やかに進行するため、大豆の圧搾前にLOXを失活しておけば、n-Hexanalの生成を抑制できると考え、H24年より短波帯交流電界加熱による浸漬大豆のブランチング処理を行ってきた。短波帯交流加熱処理は短時間でLOXを失活し、TIの失活を抑えることが可能であることがわかった。ただし、短波帯加熱において、均一な加熱が困難であった。そこで、水を強制循環させることにより、均一迅速加熱が実現できた。これにより、加熱精度が高められた短波帯加熱による大豆のブランチングを行ったところ、n-Hexanalの生成量は短波帯電力に比例して、減少することがわかった。つまり、印加する短波帯交流電界強度を高めることにより、n-Hexanalの生成を抑制できることが分かった。本研究の成果として、短波帯加熱によるブランチング処理により、タンパク質などの成分の熱変性を抑えながら青臭みを生じさせない高品質な豆乳を製造することが可能になることがわかった。
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