研究課題/領域番号 |
24500969
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
小林 彰子 東京大学, 農学生命科学研究科, 准教授 (90348144)
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研究分担者 |
石丸 喜朗 東京大学, 農学生命科学研究科, 特任助教 (10451840)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | コレステロール / フラボノイド / 腸管 |
研究概要 |
小腸上皮のモデル細胞であるCaco-2細胞を用いて、トリチウムラベル化コレステロールの取り込み試験を行った。コレステロールは実際の消化管での存在形態をシミュレートしてミセル化させた。阻害効果をもつフラボノイドをCaco-2細胞に添加しプレインキュベートした後、コレステロールミセルを添加しコレステロール取り込み量を測定した。また、NPC1L1を介したコレステロール輸送に対する阻害機構を明らかにするため、HEK293T細胞にNPC1L1を発現させ、同様にフラボノイドをプレインキュベートした後のコレステロール取り込み量を測定した。さらに、Wistar系ラットを用いてこれらフラボノイドの血中コレステロール濃度に与える効果について検討した。 スクリーニングで高いコレステロール取り込み阻害活性を示したフラボノイドは、コレステロールのミセル形成阻害とCaco-2の管腔側膜上への作用によりコレステロールの腸管吸収を阻害した。また、NPC1L1強制発現HEK293T細胞において、フラボノイドによるコレステロール輸送阻害が確認された。ラットを用いたin vivo試験において、フラボノイドはコレステロール摂餌によって増加した血中コレステロール濃度を数日間にわたり減少させた。以上の結果から、これらのフラボノイドは小腸上皮におけるコレステロールの取り込みを抑制し、またラット生体内においても血中コレステロール濃度を減少させることが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ポリフェノールのスクリーニングを終え、活性成分を選抜した。またその作用点がコレステロールのミセル化阻害および小腸上皮への作用であることを明らかにした。さらにメカニズムを明らかにするために小腸特異的コレステロールトランスポーターの発現細胞を作成し、活性成分がトランスポーターの輸送を阻害することを明らかにした。in vitroの検討が順調であったため、25年度に計画していたin vivoの検討にも前倒しで着手することができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、コレステロールの腸管におけるトランスポーターを介した輸送について、蛍光イメージング法などを用いることによりさらに詳細なメカニズムについて解析する。また、in vivo試験においてはコレステロール経口負荷試験を行い、活性成分を同時摂取した際とのコレステロールの血中濃度推移を比較し、その抑制効果を明らかにする予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
すべて消耗品代として使用する予定である。 (内訳) 細胞培養・発現細胞の作出:800,000円 動物実験・血液生化学検査代:400,000円
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