研究実績の概要 |
腸管におけるコレステロール吸収を抑制することは、高コレステロール血症の予防・治療のターゲットとなる。これまでに我々は、ヒト小腸吸収モデル細胞Caco-2を用いたスクリーニングにより、ルテオリンとケルセチンがコレステロールの吸収を抑制すること、およびコレステロール負荷食を摂餌したラットにおいて血中コレステロール上昇抑制効果があることを見出した。さらにその抑制機構の一つとして、ルテオリンとケルセチンがコレステロールトランスポーター(Niemann-pick C1 Like 1 Protein, NPC1L1)のmRNA発現を抑制することを見出した。26年度は、これらフラボノイドによる転写因子を介したNPC1L1発現低下機構を検討した。NPC1L1は転写因子SREBP2-HNF4α経路およびPPARα-RXRα経路による正の転写調節を受けることが報告されている。そこで、HepG2細胞を用いたルシフェラーゼアッセイにより、これらの経路におけるhNPC1L1 promoter活性を測定した。hNPC1L1 promoterの活性は、ルテオリンとのインキュベートにより、SREBP2-HNF4α経路で低下した一方、PPARα-RXRα経路では変化しなかったことから、ルテオリンはSREBP2-HNF4α経路によるNPC1L1の正の転写調節を抑制し、NPC1L1のmRNA発現を低下させることが明らかとなった。
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