研究課題/領域番号 |
24500972
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
長井 薫 山梨大学, 医学工学総合研究部, 准教授 (20340953)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 健康と食生活 / 神経変性疾患予防 |
研究概要 |
本研究の目的は、食品由来天然物によるエピジェネティクス制御作用、特にヒストン脱アセチル化酵素(Hdac)活性制御を介した新しい神経変性疾患予防・治療法を開発することである。本年度の主な研究実施計画は、主に酵素活性系を利用した食品由来Hdac活性制御分子の探索ということであった。これに従い、酵素活性系を用いて主に脂肪酸類およびプロポリスからのHdac活性制御物質の探索を行った。その結果、平成24年度には主に以下の結果が得られた。 1.脂肪酸類については、一般的には特に低級脂肪酸類についてHdac阻害作用を有することが知られている。そこで、幾つかの脂肪酸に関しその構造と阻害作用について検討を行った結果、分枝脂肪酸として知られクロロフィルの代謝中間体として牛産物に含まれることが知られているフィタン酸には、驚くべきことに、逆にHdacを活性化する作用が認められた。フィタン酸の蓄積は神経症状を呈するRefsum症候群の原因となることが知られていることから、Hdacの活性阻害が神経保護に重要であることを逆の観点から示唆する結果となった。また、本結果からフィタン酸はある分子の作用がHdac阻害作用を介するのか否かに関する研究に応用できる可能性が考えられる。 2.プロポリスに関しては、抗ガン作用、抗酸化作用、抗炎症作用等の生体に対する作用が報告されているが、神経保護作用やエピジェネティクス機構に対する作用はあまり報告されていない。本研究ではブラジル産プロポリスにHdac活性制御作用があるのか、活性制御物質は何かということについて探索を行った。その結果、プロポリス抽出液にはHdac阻害作用、およびSirtuin活性化作用があることを見出した。本結果は、プロポリスの摂取が神経変性疾患を予防する作用がある可能性を示唆するものであり、プロポリスの健康食品としての新たな機能を見出した可能性が高い。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究計画全体では、1) Hdac活性制御物質の探索、2) 活性制御分子による神経保護効果の解析、3) 神経保護効果の分子機構の解析、を目的としている。当初計画では、平成24年度は主に活性制御物質の探索を計画していた。従って、主にHdac活性制御分子探索を行った。 脂肪酸については、分枝脂肪酸の一種であるフィタン酸が予想と異なりHdac活性化作用を有するという発見に至った。また、既知のHdac阻害活性を有する脂肪酸系分子について、我々の研究室で用いている神経系培養細胞のヒストンのアセチル化状態に影響を与えうること、阻害活性を有する分子での処理が、ストレスからの神経系細胞の保護効果を有することという次の段階への基礎となる実験条件の確立を行った。 プロポリスに関しては、混合抽出物でのHdac阻害作用およびSirtuin活性化作用を確認した。また、既知の主要な構成成分の幾つかにHdac阻害作用またはSirtuin活性化作用があることを確認した。さらに、プロポリス抽出液には既知のHdac阻害剤と同様にストレスからの神経系細胞保護効果が見られること、神経系細胞のヒストンのアセチル化状態に影響を与えることを確認した。 以上のことから、当初の計画以上に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
今後については、食品由来成分からのHdac活性制御分子の酵素活性測定系を用いた探索を継続しつつ、24年度に得られたフィタン酸、プロポリスに関して神経系培養細胞を用いた作用に関する研究を進める予定である。 脂肪酸については、Hdac活性化作用が観察されたフィタン酸について、細胞内のヒストンのアセチル化を低下させる作用があるのか、また、Hdac阻害剤とは逆に神経系細胞をストレスに対して脆弱にする作用を示すのかについて解析を行う予定である。また、神経保護効果の知られるDHAやEPA、さらに我々の研究室で神経保護効果を報告したDLPE等についてHdac活性制御作用があるのか否かについて検討を行う予定である。 プロポリスについては、主に主要構成成分のそれぞれについて、Hdac阻害作用あるいはSirtuin活性化作用の有無に関して詳細に検討を行う。また、それぞれの成分が神経系細胞のヒストンのアセチル化状態に影響を与えうるのか、神経系細胞へのストレスからの保護効果を示すのかについて検討を行う予定である。さらには、プロポリス成分の神経保護作用のHdac活性依存性と保護機構の解析を進める予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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