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2013 年度 実施状況報告書

エストロゲンによる摂食抑制と摂食行動日内リズム調節の関連の機序解明

研究課題

研究課題/領域番号 24500975
研究機関奈良女子大学

研究代表者

鷹股 亮  奈良女子大学, 生活環境科学系, 教授 (00264755)

キーワードエストロゲン / 摂食行動 / 日内リズム / セロトニン / うつ様行動
研究概要

本年度もエストロゲン欠乏による明期の摂食量の増加のメカニズムについて検討した。7週齢のメスラットの卵巣を摘出してエストロゲン(E2)またはvehicle (Veh) を補充し、それぞれ群で明期に摂食量を制限する群と自由摂食群に分けた。明期の摂食制限により、E2群、Veh郡のいずれでも暗期の摂食量が増加したが、E2群では、1日当たりの摂食量は変化しなかった。一方、Veh群では、明期摂食制限により1日当たりの摂食量が減少し、E2欠乏による過食が抑制された。この結果は、E2欠乏による摂食行動のリズムの乱れが過食につながり、強制的に摂食行動のリズムを作ることによりE2欠乏による過食が抑制される可能性を示す。しかし、視交叉上核におけるc-Fos発現や時計遺伝子発現には食事パターンの変化は影響せず、視交叉上核以外の神経活動の変化が摂食量の設定に関連している可能性が示された。
更に、エストロゲン、光環境は、セロトニンニューロンを介して摂食量に影響している可能性が考えられるので、エストロゲンの摂食抑制作用と抗うつ作用における脳内セロトニンの関与について検討した。7週齢のメスラットの卵巣を摘出してE2またはvehを補充し、それぞれ群を更に選択的セロトニン取り込み阻害薬であるフルオキセチンを投与した群(FLX群)と生理食塩投与群(SAL群)に分けた。FLX群では、E2群、Veh群のいずれにおいても明期に選択的に摂食量が減少した。また、FLX投与群では、Veh群において強制水泳時の無動時間(うつ様行動)の短縮が見られた。以上より、エストロゲンによる明期の摂食抑制作用と抗うつ作用にはセロトニンが関わっている可能性が示された。更に、Veh群においてFLXは、視交叉上核のc-Fos発現を明期に特異的に増加させた。以上より、セロトニンは、明期にSCNの光感受性を増加させる作用がある可能性が示され、これが明期の摂食抑制作用と関連している可能性がある。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度は、明期の摂食制限がエストロゲン欠乏による過食に対する影響を検討し、摂食行動の日内リズムの乱れによる明期の過食が1日当たりの摂食量を増加させることを明らかにすることが出来た。しかし、そのメカニズムについては更に検討していく必要がある。
また、エストロゲンによる明期の摂食抑制作用におけるセロトニンの役割についても検討し、エストロゲンによる明期の摂食抑制作用と抗うつ作用にセロトニンが関わっている可能性を示した。現在は、選択セロトニン再取り込み阻害薬に加えて、セロトニン枯渇を誘導する薬剤を用いて更に脳内セロトニンの役割について検討しているところである。
これらの結果の一部は、学会で既に発表または発表予定である。更に現在論文の作成を進めている。

今後の研究の推進方策

今後も研究計画に基づいて研究を進めていく予定である。研究計画に加えて、エストロゲン欠乏による明期の過食のメカニズムにセロトニンが関与している可能性が示されたが、セロトニン再取り込み阻害薬だけではなく、セロトニン枯渇を誘発する薬剤を脳室内に投与し、セロトニン欠乏の影響がエストロゲンによる明期の摂食抑制作用や抗うつ作用に及ぼす影響について検討を進める予定である。

次年度の研究費の使用計画

消耗品の購入がわずかに少なくなってしまい、次年度使用額が生じてしまった。
研究に必要な消耗品の購入を行う

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2014 2013

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (8件)

  • [雑誌論文] Involvement of orexin-A neurons but not melanin-concentrating hormone neurons in the short-term regulation of food intake in rats.2014

    • 著者名/発表者名
      Nishimura Y, Mabuchi K, Taguchi S, Ikeda S, Aida E, Negishi H, Takamata A.
    • 雑誌名

      Journal of Physiological Sciences

      巻: 64 ページ: 203-211

    • DOI

      10.1007/s12576-014-0312-0

    • 査読あり
  • [学会発表] Serotonin is possibly involved in the anorexigenic and anti-depressant effects of estrogen in rats2014

    • 著者名/発表者名
      Nishimura Y, Mabuchi K, Morimoto K, Takamata A
    • 学会等名
      第91回日本生理学会大会
    • 発表場所
      鹿児島
    • 年月日
      20140316-20140318
  • [学会発表] Estrogen-induced anorexia is dependent on light environment2014

    • 著者名/発表者名
      Takamatra A, Mabuchi K, Nishimura Y, Morimoto K
    • 学会等名
      第91回日本生理学会大会 (シンポジウム)
    • 発表場所
      鹿児島
    • 年月日
      20140316-20140318
  • [学会発表] エストロゲンの摂食抑制・抗肥満作用は恒常暗環境で抑制される2013

    • 著者名/発表者名
      馬淵香織、鷹股亮
    • 学会等名
      第52回日本生気象学会大会
    • 発表場所
      米子
    • 年月日
      20131101-20131102
  • [学会発表] 大豆イソフラボンの代謝活性物質エクオールが卵巣摘出ラットの摂食・体重調節に及ぼす影響2013

    • 著者名/発表者名
      馬淵香織、高野梓、原弥生、森本恵子、上野友美、内山成人、鷹股亮.
    • 学会等名
      第67回日本栄養・食糧学会大会
    • 発表場所
      名古屋
    • 年月日
      20130524-20130526
  • [学会発表] エストロゲンは糖利用低下時の摂食行動と視床下部脳弓周囲のオレキシンニューロン活動を抑制する2013

    • 著者名/発表者名
      鷹股亮、三宅加奈、馬渕香織、森本恵子
    • 学会等名
      第67回日本栄養・食糧学会大会
    • 発表場所
      名古屋
    • 年月日
      20130524-20130526
  • [学会発表] Photic stimulation is required to elicit estrogen-induced anorexia in rats2013

    • 著者名/発表者名
      Mabuchi K, Takano A, Hara Y, Morimoto K, Takamata A
    • 学会等名
      Experimental Biology 2013
    • 発表場所
      Boston
    • 年月日
      20130420-20130424
  • [学会発表] Orchiectomy increases food intake and perifornical orexin A neuron’s activity during glucoprivation2013

    • 著者名/発表者名
      Takamata A, Miyake K, Mabuchi K, Morimoto K
    • 学会等名
      Experimental Biology 2013
    • 発表場所
      Boston
    • 年月日
      20130420-20130424
  • [学会発表] Serotonin is possibly involved in the anorexigenic and antidepressant effects of estrogen in ovariectomized rats2013

    • 著者名/発表者名
      Nishimura Y, Mabuchi K, Negishi H, Morimoto K, Takamata A.
    • 学会等名
      Experimental Biology 2013
    • 発表場所
      Boston
    • 年月日
      20130420-20130424

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公開日: 2015-05-28  

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