研究課題/領域番号 |
24500976
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
山崎 章 鳥取大学, 医学部附属病院, 講師 (70325009)
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キーワード | ビタミン |
研究概要 |
閉塞性呼吸器疾患である気管支喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)では酸化ストレスがその病態に関与していることが報告されている。この酸化ストレスは、ビタミンA,C,Eなどの抗酸化作用のあるビタミンが有効である可能性がある。これまで我々は基礎実験および臨床研究でこれらのビタミンに関する検討を行った。 基礎実験については平成24年度同様に気道平滑筋細胞を用いて検討した。ビタミンEのisoformsのうちαトコトリエノール、γトコトリエノール及びδトコトリエノールを用い、気道平滑筋細胞の遊走能および増殖能について検討した。それぞれのトコトリエノールはPDGF-BBによる平滑筋細胞の遊走および増殖をその濃度依存性に抑制した。また、気道平滑筋細胞はTGF-β1刺激により筋線維芽細胞様へ分化誘導される。この分化誘導が各種トコトリエノールにより抑制されるかどうかについて検討した。分化誘導の指標はα-smooth muscle actin (αSMA)、collagen I(Col I)よびfibronectin (FN) の蛋白の発現量を用いた。TGF-βは平滑筋細胞のαAMA, Col I, FNの発現量を増強した。また、γ-トコトリエノールはTGF-βによるαAMA, Col I, FNの発現量の増強を濃度依存性に抑制した。これにはSmad 2およびSmad3のリン酸化の抑制と平滑筋細胞の分化に関連した転写因子Id1の抑制が関与していた。 臨床研究では閉塞性肺疾患患者21名(気管支喘息19名、COPD患者2名)について検討を行った。酸化ストレスは、diacron reactive oxygen metabolites (dROMs):高値であれば酸化ストレスが高いとされている:を測定した。閉塞性肺疾患患者ではdROMs濃度と閉塞性換気障害との程度には有意な相関は得られなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
各種ビタミン濃度、ビタミン摂取量および閉塞性肺疾患の患者での呼吸機能との検討がまだ十分できていない。また同意の得られた患者が21名と少なく、今後さらに多くの患者に協力を依頼する必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
基礎実験についてはδ-tocotrienolの検討が十分できていない。またビタミンA, Cに関する検討も行っていく予定である。 臨床研究については21名の患者より、血清、呼気濃縮液の採取、ビタミン摂取量についてのアンケート調査を終了しており、各種ビタミン濃度、ビタミン摂取量と酸化ストレスの各種マーカー、抗酸化力について検討していく予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
基礎実験が予定より遅れているため。 また対象患者が21名と少なく、当初予定していた40名の半分程度であるため。 基礎実験に用いる細胞(細胞1vial 約12万円を2vialで約24万円)、各種抗体(Id1, FN, Col 1など 1種類の抗体について6万円前後、約18万円)、遊走能をみるためのchamber plate (約20万円)、各種試薬(約10万円)を予定している。 また臨床研究では酸化ストレスマーカー測定のための試薬(約15万円)、血清中のビタミン濃度測定および自己記入式アンケート調査(1人につき約2万円、20名として、約40万)を予定している。
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