研究実績の概要 |
1.患者を対象とした研究について 21名の閉塞性肺疾患患者(19名の気管支喘息患者、2名の慢性閉塞性肺疾患患者)を対象に、血清ビタミン濃度、ビタミン摂取量、呼吸機能、酸化ストレスの程度、身体活動性との関係について検討した。酸化ストレスはFree Radical Analytical System (Wismerll社製)を用い、血清及び呼気dROMs値 (diacron reactive oxygen metabolites)、抗酸化力はBAP test (biological antioxidant potential)で評価した。活動性は加速度計であるActiwatchを用いて評価した。ビタミンは簡易型自記式食事歴法質問票及び血中濃度を測定した。酸化ストレスの指標とビタミンA, ビタミンC、α-tocopherolと活動性、各種酸化ストレスと活動性との間には有意な相関は見られなかった。また、各種ビタミン濃度及び活動性と%FEV1、FEV1%, %VCとの間にも有意な相関は見られなかった。酸化ストレス、呼吸機能、身体活動性との関連性を見出すことは一時点の評価では難しいことが推測された。 2.気道平滑筋細胞を用いた研究について 抗酸化力作用のあるビタミンEのうち、トコトリエノールを用いて検討を行った。トコトリエノールのisoformにはα、β、γ、δの4つがあるが、このうち、α、γ、δトコトリエノールを用いて検討を行った。αおよびγ、δトコトリエノールは濃度依存性にPDGF-BBによる気道平滑筋細胞の遊走および増殖を抑制した。この機序としてMAPKおよびAkt1の活性化の関与はみられなかった。また、γトコトリエノールは、PDGF-BBによるRhoの活性化を抑制することにより、気道平滑筋細胞の遊走および増殖を抑制していることが分かった。
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