研究課題/領域番号 |
24500979
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研究機関 | 産業医科大学 |
研究代表者 |
安達 泰弘 産業医科大学, 医学部, 講師 (10346546)
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研究分担者 |
大和田 祐二 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (20292211)
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キーワード | 脂肪酸結合タンパク / FABP / 脂肪酸 / 分化誘導 / 胸腺上皮細胞 |
研究概要 |
研究計画に記載した内容3項目:I)脂肪酸添加による培養胸腺上皮細胞の形態・増殖分化能の変化、II)脂肪酸添加による液性因子産生の変化、III)脂肪酸添加による胸腺細胞の分化誘導能の変化、において、このうちI)については遅れてはいるが比較的順調に推移しており、繰り返し確認実験を行っている状況である。しかしながら、導入したマウスの繁殖が不調であるため、II)およびIII)については実験に着手した段階である。この間、最終的に得られる実験結果の解釈に必要な基礎データを得るため、II)のコントロール実験として脂肪酸未添加の胸腺上皮細胞分画を用いたDNAアレイ実験を行い、野生型とFABP5ノックアウト胸腺上皮細胞間でどのような遺伝子発現差が生じているのかについて検討したところ、FABP5ノックアウト胸腺上皮細胞ではクロマチンの構造制御に関する遺伝子の発現量が低下していることがわかった。FABP5をはじめとする各種FABP分子は、様々な組織・細胞において脂肪酸リガンドを核内受容体(転写因子)に受け渡すことで特定遺伝子群の転写制御に関与していることから、胸腺上皮細胞において多量に発現するFABP5は脂質シグナリングを介してクロマチン構造を制御する遺伝子の発現調節に関与している可能性が考えられた。現在は上記の計画された実験を推進するとともに、この遺伝子を含む発現に変動があった遺伝子の効率的な解析方法等について検討を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
FABP5ノックアウトマウスの繁殖不良によりコロニー拡大が不十分であることから、平成25年度に計画していた胸腺上皮細胞の初代培養系による分化誘導因子発現検索と胸腺細胞との共培養実験は実施中である。
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今後の研究の推進方策 |
初代培養系における液性因子産生の検討は継続して進めるが、当初計画にある胸腺細胞と胸腺上皮細胞のin vitro共培養系による胸腺細胞の分化解析は、機材等の都合上、器官培養(FTOC)ではなくRTOCで試みる予定である。また、DNAアレイ実験結果の検証も進め、合わせて考察する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
上述の通り、導入した遺伝子改変マウスの繁殖状況が思わしくなく、コロニーの規模が当初予定していた規模にまで達していない。このため実験の進行が遅れており、購入予定の消耗品も実験結果に左右されることから、物品費及び動物飼育費の余剰分として繰越金が発生した。 次年度は初代培養・共培養用の細胞培養試薬・器具類、細胞解析用抗体類、遺伝子解析用試薬・器具類、マウス飼育・購入費用として研究費を使用する。現時点においては高額機器の購入予定はない。従って、発生した繰越金は基本的に物品費に振り替え、各種解析費用として使用する予定である。
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