野生型マウスと表皮型脂肪酸結合タンパク(FABP5)ノックアウトマウス(FABP5-KO)の比較により、FABP5と脂肪酸が胸腺上皮細胞の形態、増殖能、及び胸腺機能に及ぼす効果について検討した。その結果、長鎖不飽和脂肪酸は胸腺上皮細胞の形態と機能に大きな影響は及ぼさず、増殖に促進的であった。同様に、レチノイン酸もFABP5を介して増殖に促進的に機能すると考えられた。胸腺細胞の分化状態と分化に必要な液性因子の遺伝子発現においても両マウス系統間で差は無かった。これらの結果から、脂肪酸(長鎖不飽和脂肪酸とレチノイン酸)はFABP5を介して胸腺上皮細胞の増殖・分化制御に関与していることが示唆された。
|