研究課題/領域番号 |
24500984
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 新潟県立大学 |
研究代表者 |
田村 朝子 新潟県立大学, 人間生活学部, 教授 (60240991)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 真空調理 / 新調理システム / 咀嚼・嚥下機能 / 災害 |
研究概要 |
東日本大震災で、被災された方の栄養摂取量が非常に低かったことが報告され、また疾患や咀嚼・嚥下機能低下に対応した食品の提供が困難であったことから、栄養不足がさらに増大することになった。そこで、本研究では、咀嚼・嚥下機能の低下した高齢者が災害時にも十分に栄養摂取ができるようにするための食品を、真空調理法を活用して開発することを目的に研究を行う。平成24年度は、研究の初年度にあたることから、主に①高齢者施設における食事提供の実態や提供されている食事について調査するとともに、②医療機関や福祉施設における災害時用の非常食・備蓄食についての実態調査、および③行政等の災害マニュアルや過去の震災時の栄養摂取等に関する文献調査を行っている。 ①高齢者施設における給食形態および提供献立の実態調査:研究協力の同意を得た医療機関および老人福祉施設から、提供されている食事の献立、調理方法、提供形態(きざみ食、ミキサー食、流動食等)についての資料を提供していただいた。しかし、施設によって、提供形態の区分の仕方や名称が異なることから、現在は、資料内容を確認し、新たに区分をし直し、集計中である。 ②医療機関や福祉施設における災害時用非常食・備蓄食についての実態調査:災害時用非常食・備蓄食についてのアンケート用紙を作成し、それを医療機関や高齢者施設に発送した。現在、アンケート用紙を回収中であり、回収したものから順次、入力集計中である。 ③災害等に関する文献調査:災害等に関する文献を収集し、内容を集計中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究協力を依頼した医療機関や福祉施設の選定に少々手間取った上、医療機関等での倫理審査をお願いする際、平成25年度に実施予定の内容を含めて依頼したために、倫理審査に入っていただくまでに時間を要した。そのため、研究開始が遅れた。また、食事実態調査では、同じ名称の食事でも、施設によって調理方法や提供形態が異なっていたため、提供いただいた資料の内容を1つ1つ確認する必要があり、やはり集計に至るまでに時間を要したことから、全体の研究の進行状況をやや遅れているとした。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度については、まず、平成24年度に完了していない課題を引き続き実施し、平成25年度のなるべく早い時期に完了させる。 さらに、平成25年度に当初から実施予定の課題①施設入所高齢者の食事形態別摂食状態調査、および②施設入所高齢者に提供された食事の物性および粘度測定を実施する。 ①の課題については、施設入所高齢者の食事内容、喫食量、喫食方法(自力、介助、経管等)、歯の状態、歯の本数、摂食・嚥下障害レベル(藤島グレード、DSS)、舌圧測定、身体状況、血液検査値等を調査する。 ②の課題については、実際に提供された食事について、近距離にある施設の場合は、実物を持ち帰り、すぐに物性と粘度を測定する。遠距離にある施設や時間経過とともにとろみや粘度が変化する料理については、大学内で調理または粘度調整を行った後、物性および粘度を測定する。 さらに、①と②の結果から、食事の物性値・粘度と高齢者の舌圧との関連を相関解析し、摂食状態と食事の物性的な特徴を明らかにする。
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次年度の研究費の使用計画 |
物品費 100万円。物品費として購入する主なものは、まず、高齢者の舌圧測定実施に必要な舌圧計および附属のディスポーザブルの消耗品類である。また、高齢者に提供された食事の物性や粘度を測定する際に食事を入れるディスポーザブルの容器および測定時に必要となるクリープメーターのソフト、測定部品を購入する。 旅費 25万円。平成24年度および25年度の研究成果を発表するため、学会出張の旅費(日本給食経営管理学会・千葉市、日本静脈経腸栄養学会・横浜市)として使用する。 その他 15万円。文献複写費、論文別刷代、機器調整や修理のための費用として使用する。
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