研究課題
大阪の農業と食文化を支えてきた歴史や伝統を持つ大阪独特の野菜である「なにわ伝統野菜」の1つである玉造黒門越瓜の新しい生理作用として、今年度は抗肥満効果について解析した。In vitro 肥満モデルとして使用される3T3- L1 前駆脂肪細胞を用いて、玉造黒門越瓜抽出物の抗肥満効果について検討したところ、玉造黒門越瓜抽出物は、細胞内脂肪蓄積量、脂肪合成の律速酵素であるGPDH 活性およびそれらの発現に関する転写因子(PPARγ, C/EBPα)を添加濃度に依存して有意に抑制したことから、玉造黒門越瓜抽出物は、脂肪細胞への分化を転写因子のレベルで制御し、抗肥満効果を発揮することが見出された。一方、これらの効果は一般の白瓜には認められなかったことから、玉造黒門越瓜に特異的な作用であることが明らかとなった。次に、玉造黒門越瓜抽出物に含まれる成分による抗肥満効果について、一般の白瓜抽出物と比較して玉造黒門越瓜抽出物に多く含まれる成分であるDL-pyroglutamic acid、Uridine、L-threonic acid hemicalcium saltを用いて抗肥満効果について検討したところ、これらの成分を単独に添加しても抗肥満効果は認められなかった。以上の結果から、玉造黒門越瓜抽出物は抗肥満効果を有すること、また、その作用は玉造黒門越瓜抽出物に含まれる成分の相加/相乗効果によるものであることが明らかとなった。
2: おおむね順調に進展している
玉造黒門越瓜の新しい生理作用として、抗肥満効果とその作用メカニズムについて明らかにすることができた。また、玉造黒門越瓜抽出物に含まれる成分は単独では作用しないが、複数の成分の相加/相乗効果によるものであることを見出すことができたため。
平成24年度では、玉造黒門越瓜抽出物のアルコール性肝疾患の予防効果を明らかにした。さらに平成25年度では、新しい生理作用として、抗肥満効果とその作用メカニズムについて明らかにすることができた。今後はさらに、皮膚の抗老化作用について検討する。また、研究成果の社会還元を目指すために、「なにわ伝統野菜」としての玉造黒門越瓜の普及啓発の方策を計画したい。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (6件)
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