研究課題
朝食欠食の弊害は午前中の活力低下のみならず長期的には肥満やメタボリックシンドローム発症とも関連しており改善が望まれる。本課題では朝の食欲と胃運動に着目し、朝型ライフスタイルと朝食摂取がなぜ体に良いのかを探究し、以下の成果を原著論文として公表した(一部は投稿中)。初年度の液体をサンプルとした基礎研究では朝に摂取する飲食物が食欲や胃の規則的な収縮運動(胃運動)に及ぼす影響について検討し、①炭酸・香辛料を含む温スープ、冷たい炭酸水が胃運動や満腹感を高めることを対照サンプルとの比較により見出した。また、②炭酸水では食べ真似(口腔内刺激)のみでも胃運動や食欲、体温を変化させる脳相反応が惹起されることや、③嗜好性の高い(美味しい)温スープは深部のみならず抹消体温上昇にも寄与することを見出した。2年目の応用研究では、④夜型傾向の女子大学生では、朝の1時点の自律神経活動が低調であること、および、⑤夜型傾向者であっても規則正しく3食を摂取する実験条件では、朝型傾向者に類似した胃運動や体温の日内変動が示され、朝食摂取が夜型傾向者の生活リズム変調の改善に役立つ可能性が示唆された。さらに、胃の体内時計への遺伝的な影響についても検討し、⑥CLOCK3111T/C SNP単独で朝の胃運動が減弱すること、および⑦CLOCK3111T/C SNPとPER3 longer alleleを併せ持つ事で胃運動がさらに弱まることを初めて見出し、それぞれの成果は栄養生理学分野で評価の高い雑誌に掲載された。最終年度には高校で寮生活をする生徒(男女)の朝の胃運動測定などを行い食育介入も実施した。夜のスマホ使用時間と朝の体調の関連など、主要な結果を国際学会発表や論文により結果を公表する。本研究の成果とその情報発信は、国民の朝食摂取推進や「早寝早起き朝ごはん」食育活動のエビデンスとして役立つことが期待される。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (7件) (うち招待講演 2件)
PLoS ONE
巻: 10 ページ: e0120009
10.1371/journal.pone.0120009
日本栄養・食糧学会誌
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