研究課題/領域番号 |
24500989
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 香川県立保健医療大学 |
研究代表者 |
加太 英明 香川県立保健医療大学, 教養部, 教授 (00321266)
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研究分担者 |
山主 智子 香川県立保健医療大学, 教養部, 准教授 (40382395)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | Parkinson病 / 6-hydroxydopamine / L-DOPA / squalene / squalane / dopamine |
研究概要 |
内因性のParkinson病(PD)原因物質であると考えられている6-hydroxydopamine(6-OHDA)を脳室内に投与し,Parkinson病(PD)モデルマウスを作成した後,病状改善薬であるL-DOPAとともに,コレステロール生合成の中間体であり,免疫増強効果他様々な生理活性が報告されているsqualene,もしくはその水素化物であるsqualaneを投与し,病態の進行に対する効果を黒質・線条体中のdopamine(DA)濃度を指標として検討した. その結果,6-OHDAを投与することにより,その4週間後において線条体内DA濃度は低下していたが,さらにL-DOPAを投与するとその濃度の低下が顕著となった.さらにsqualene,もしくはsqualaneを投与すると,その低下は抑制された.すなわち,squaleneもしくはsqualaneを継続的に投与することにより,6-OHDA投与後のL-DOPA投与によるDA低下の亢進が抑制されることが明らかとなった. 我々は,あらかじめsqualeneを投与したマウスに対して6-OHDAを投与すると,線条体内DAの低下が抑制されること,あらかじめsqualaneを投与した場合には低下が増強されることを報告している.すなわちPDに対してsqualene摂取は予防効果があるが,squalane摂取はむしろ悪化することを示唆している.今回の結果は,PD発症後にsqualeneやsqualaneを摂取すると,L-DOPAによるPDの進行を抑制する可能性を示唆する.この結果に対して,今後その機序の検討が必要である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
6-Hydroxtydopamineを脳室内に投与しParkinsone病モデルとすると,マウスは衰弱する.このマウスにL-DOPAを投与すると衰弱は進み,さらに脳室内投与の際の傷の残るマウス頚頭部を強くつかみ強制的に経口投与を行うと死亡率が高くなる.初め経口投与を行ったところ,想定以上に死亡率が高くなり,各実験群の例数がきわめて少なくなった.今回投与したsqualeneやsqualaneは経口投与では吸収率は60-70%,消化管内では変化しないと報告されている.そのため,経口投与をあきらめ,よりマウスに対するストレスが少なくなると思われる腹腔内投与を行った.それでもなお死亡率はかなり高く,dopamine濃度等生化学的データにおいて,平均値ではかなり差があるものの有意差が出ないものがあった.また,四肢の協調運動の測定にも支障が出た.従って,やや遅れ気味ではあるが,平成25年度において,一連の実験でのマウスの頭数を増やすことにより十分その遅れは取り戻せる範囲である.
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今後の研究の推進方策 |
実験を始める際の1群あたりのマウスの頭数を多くすることで,各実験群の例数不足に対応する.そのためコストがかかることに対しては,実験群を厳選し,群を減らすことで対応する.このようにして例数を確保したうえで,squaleneやsqualane投与による活性酸素消去能への影響を調べ,dopamine濃度の回復の機序について検討する.また協調運動の測定は,器具を使用したものでなく投与後一定期間観察することにとどめる. 測定項目については,計画通り活性酸素種消去酵素(カタラーゼ,グルタチオンペルオキシダーゼ,SOD)を測定するとともに,squaleneがコレステロール合成の代謝中間体であることから,コレステロール濃度,その他脂肪酸濃度の測定を行う.
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次年度の研究費の使用計画 |
おおむね計画通り,実験動物(マウス)およびその飼育のための飼料や床敷きのために350,000円程度,実験器具の購入のために100,000円程度,試薬の購入のために300,000円程度,成果の発表のための学会出席のための旅費に50,000円程度を使用する予定である. 実験動物や器具,試薬に関しては,互いに物品費として流動的に使用する. 平成24年度の未使用分は,6,766円であり,これは試薬の購入に充てる予定である.
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