赤内期のマラリア原虫はコレステロール(Chol)の生合成系を持たない。しかしCholや脂質は、原虫のタンパク質輸送に重要な役割を持つMaurer’s cleft(MC)の膜形成に重要と考えられていることから、原虫がどのようにCholや脂質等を外部環境から取り込んでいるか、またMCの微細構造の3次元的検討はタンパク質輸送機構を解明する上で重要な課題であった。本研究の結果から、原虫はリポタンパク質を介して肝臓―感染細胞間におけるCholの輸送・取り込みを行っており、またMCは微細なフィラメントを多数伸長しながら赤血球膜の裏打ち構造と結合し、タンパク質輸送を行っている可能性が初めて示された。
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