研究課題/領域番号 |
24500994
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 埼玉医科大学 |
研究代表者 |
保坂 利男 埼玉医科大学, 医学部, 講師 (60403698)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | GLUT4 / 細胞骨格 / 脂肪合成 / トランスロケーション |
研究概要 |
脂肪酸結合蛋白XのsiRNAをエレクトロポレーション法で分化後の3T3-L1脂肪細胞に導入させ、90%以上遺伝子発現をノックアウトし、その後インスリン依存性の糖取り込みへの脂肪酸結合蛋白Xの関与をcolorimetric assayで確認した。そのメカニズムについての確認で、細胞膜、low density microsome分画を精製してGLUT4の局在を確認しており、preliminaryなデータであるがGLUT4のトランスロケーションの低下を起こすことが確認された。さらにそのメカニズムの解明を行っておりアクチンまたはチュブーリンの細胞内骨格蛋白と脂肪酸結合蛋白Xの関連を見出しており、インスリン刺激による細胞内骨格蛋白のrearrangement後のGLUT4の細胞膜移動に細胞内骨格と結合することで関与していると推測して実験を繰り返している。また、脂質代謝に対する脂肪酸結合蛋白Xの関与検討の結果、脂肪分解には影響せず、脂肪取り込みに重要である結果を見出している。 一方脂肪酸結合蛋白XとGLUT4小胞との直接のinteractionに関しては、脂肪酸結合蛋白Xは、CSP1(Cysteine string protein 1)に結合する蛋白としてMass Spectrometryで同定しており、合部位などの解析を進める予定でCSP1と脂肪酸結合蛋白X両方の種々のTag付き欠失蛋白を遺伝子改変法を使い作製を行っている。CSP1は、インスリン抵抗性状態で発現が増加し、GLUT4の細胞膜融合を抑制することが見出され(Jambaldorji B et al. 2013 JMI in press)、CSP1の発現が減ると脂肪酸結合蛋白Xの発現が増加することより、GLUT4のトランスロケーションには相反する効果を認めることが推測され、お互いを制御しているメカニズムを探索中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
一部の研究では技術的な面で(遺伝子改変ベクターの作製など)時間が予想よりかかっており、方法条件や解析アプローチを変えて実験を行っている。上手くいっている計画においてもpreliminaryな結果であり、現在結果が正しいかどうかを解析方法の変更や関連データの解析で確実化を行っている。ノックアウトマウスの解析は、すでに国内他大学が取得済みと判明しており、今後共同研究を進める予定(科学研究費からは研究費委譲は派生しないアドバイスの形)で善後策をとっている。
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今後の研究の推進方策 |
脂肪酸結合蛋白Xと特異的結合脂肪酸の検討のため、今後種々の遊離脂肪酸(多価不飽和脂肪酸、単価飽和脂肪酸、多価飽和脂肪酸、およびω3系多価不飽和脂肪酸)との結合を精製した脂肪酸結合蛋白Xとin vitroで脂肪酸を結合させた後、低相液体クロマトグラフィーを用いて解析を行い特異的な結合脂肪酸を同定をおこなう。 タグ付き脂肪酸結合蛋白Xを分子生物学的手法で精製後これをBait(餌)として、マウス脂肪細胞または骨格筋細胞破砕粗精製細胞内蛋白とアフィニティクロマトグラフィー法を用いて精製してMass Spectrometry解析をおこないCSP1、脂肪酸結合蛋白X以外の新規治療薬の候補蛋白を探索から脂肪酸とインスリン感受性/抵抗性のメカニズムを解明する。
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次年度の研究費の使用計画 |
培養細胞株、アデノウイルスの作製、遺伝子実験関係、細胞培養関係(メディウム、ディッシュ、血清)の消耗品が必要となる。 Real time PCR用試薬/キット、アフィニティクロマトグラフィー、Mass Spectrometry解析などの消耗品も必要となる。 研究代表者および大学院生が国内学会に出席し、情報収集と成果発表を行うため国内旅費を申請する。
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