研究課題/領域番号 |
24500998
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東京家政学院大学 |
研究代表者 |
海野 知紀 東京家政学院大学, 現代生活学部, 准教授 (90439753)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | ポリフェノール / 腸内細菌 / エピガロカテキンガレート |
研究概要 |
ポリフェノールの生体利用性は低く、摂取したポリフェノールの一部は小腸での吸収を免れ、大腸へと流入する。大腸は多種の腸内細菌が生息しているが、その菌種バランスは免疫機能をはじめ、健康維持に重要であると理解されている。本研究では、茶に含まれるポリフェノールの一種であるエピガロカテキンガレート(EGCG)が腸内細菌叢に及ぼす影響を生体レベルで評価する目的で、ラットに対する投与試験を行った。 EGCGを0.3%、0.6%となるように混餌し、ラットに4週間投与した。その間、糞を回収し、解剖時には盲腸内容物の重量を測定した。また、投与4週目に得られた乾燥糞を用い、Terminal Restriction Fragment Length Polymorphism(T-RFLP)法で腸内細菌群集を数値化し、EGCGを含まないコントロール群と比較した。さらに、盲腸内容物中の短鎖脂肪酸、p-クレゾール、フェノールについて高速液体クロマトグラフィーを用いて定量した。 試験期間中の乾燥糞重量は、コントロールと比較して0.6%EGCG群で有意に増加したが、0.3%EGCG群では有意な影響は認められなかった。同様に、盲腸内容物重量も0.6%EGCG群で有意な増加が観察された。T-RFLP法で求めた腸内細菌群では、EGCGの投与によりClostridiumの低下が観察された。0.6%EGCG群において盲腸内の酢酸、酪酸の含有量が低下した。一方、盲腸内フェノール含有量は0.6%EGCG群で増加したが、p-クレゾールでは有意に減少する結果が得られた。以上より、EGCGを0.6%となるように混餌した場合には、ラットの腸内細菌叢に変化をもたらし、その結果、腸内細菌による代謝産物の含有量にも影響したと推察された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ラットを用いた動物実験を行い、分析に用いるサンプルを得ることができた。一部の糞サンプルについては、これまでにT-RFLP法による腸内細菌の数値化解析を完了しており、その結果をもって試験サンプルの腸内細菌叢へ及ぼす影響評価の考察をはじめている。また、盲腸内の代謝産物の定量についても本研究室内での測定法を確立し、多数の検体数に対応できることが可能となっている。以上より、現在までの達成度はおおむね順調に進展していると自己評価される。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、糞サンプルを用いたT-RFLP法による腸内細菌叢への影響評価を進めるとともに、並行して文献調査により得られた結果に関する考察を行う。さらに、次々年度以降に計画している腸内細菌叢に及ぼすポリフェノールの構造-活性相関に関する検討を遂行するために、比較的入手可能なポリフェノールサンプルを用いて予備的検討を開始する。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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