研究課題/領域番号 |
24501000
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
谷中 昭典 筑波大学, 医学医療系, 教授 (80272201)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 低線量放射線 |
研究概要 |
本研究では、第一に低線量放射線の長期的な被曝が大腸粘膜病態に及ぼす影響を明らかにすること、第二に放射線被曝による発がんを予防するための手段として、酸化ストレス応答能を増強する食品の摂取が有効であるか否かを検証することを目的として、以下の方法で検討することにした。 1.低線量放射線の長期被曝が大腸粘膜に及ぼす影響について ① In vitro での検討:放射性セシウム(Cs137) が大腸粘膜上皮由来の培養細胞の細胞生存率、増殖能、DNA 傷害、酸化ストレス応答関連遺伝子、抗酸化酵素発現に及ぼす影響について検討する予定であった。しかしながら、H24年度時点において、筑波大学RI施設ではCs137の取り扱いが許可されていないことが判明し、H24年度において、上記の実験を行うことは出来なかった。② In vivo での検討:Cs137 がin vivo におけるマウスの大腸に及ぼす影響を検討するために、正常マウスに対してCs137 の経口投与による内部被曝を行い、大腸粘膜に及ぼす長期的影響について評価を行う予定であった。しかしながら、当大学でCs137の取り扱いが許可されていないこと、及び本学RI施設内においてマウスの長期飼育が不可能であることが判明したため、このプロトコール通りの実験が不可能であることが判明した。そこで、実験プロトコールを変更し、RI試薬としてのCs137を用いる代わりに、筑波大学の周辺で採取した低線量の放射性セシウムを含む土壌を餌に混ぜてマウスに投与することによって、同じ目的の実験が可能であることが判明した。現在、この方法によりin vivoの実験を遂行中である。 2.Sulforaphaneが大腸粘膜に及ぼす影響について検討する予定であったが、②における実験計画の変更に長時間を要したために、この実験をH24年度中に開始することが出来なかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究を開始するにあたり、筑波大学の規則を調査した結果、平成24年度時点においては、本学RI実験施設において非密封線源としての放射性セシウムの取り扱いが許可されていないこと、及び、本学RI実験施設内において、マウスの長期飼育が不可能であること等が判明した。その結果、H24年度中に、当初計画したプロトコール通りにRI試薬としての放射性セシウムを用いて、in vitro 、in vivo の実験を行うことが出来なかった。しかしながら、本学RI関係者に働きかけることにより、H25年度中にRI試薬としての放射性セシウムを用いたin vitroの実験が本学RI実験施設内で実施可能になる見通しとなった。また、in vivoの実験については、非密封線源としての放射性セシウムの代わりに、生活環境中に存在する低線量放射性セシウムを含有する土壌を用いる方法に実験プロトコールを変更することによって、RI施設外で実験の遂行が可能になった。しかしながら、このプロトコール変更に伴う実験計画の承認を受けるための学内手続きに予想以上の時間を要し、実験の開始が遅れたため、研究目的の達成という観点において若干の遅れが生じる結果になった。
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今後の研究の推進方策 |
前述した如く、本学RI施設において非密封線源としての放射性セシウムの利用が平成25年度中に可能になる見通しになった。したがってin vitro の実験については、H24年度に予定していたが実施できなかった実験、及び当初よりH25年度に予定している実験の両方を実施する予定である。In vivo の実験については、当初のプロトコールを変更した実験をH24年度後半に開始したが、この実験はH25年度前半に終了する予定である。この実験結果を踏まえて、H25年度の後半には、放射線被曝による大腸粘膜障害に対するsulforaphane の保護効果に関する in vitro, 及び in vivo の実験を開始する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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