大腸癌のリスクファクターである潰瘍性大腸炎患者は年間8000人ずつ増加している。それ故、その予防・症状改善は大腸発癌の予防につながると考えている。我々は簡便で多くのヒトが実施可能な予防法が重要と考え、経口栄養食品、健康食品素材およびその混合物を用い、デキストラン硫酸ナトリウム(DSS)誘発マウス潰瘍性大腸炎モデルにて検討を行ってきた。経口栄養食品は連携研究者の東口らが腸管への臨床効果を報告しているGFO(G:グルタミン、F:水溶性ファイバー、O:オリゴ糖)と同等のGFO混合物を、健康食品素材は我々が作製し抗炎症作用等が期待される高温高圧処理ニンニク(HTPG)を使用した。 昨年実施した雌性C57BL/6Jマウスを用いた実験期間7日での検討では、GFO混合物(高濃度)およびHTPG(低濃度)の単品投与では、本モデルの特徴である大腸萎縮度を示す大腸長あるいは肥厚度(大腸重量と大腸長の比)で抑制効果が認められたが、混合投与では有意な効果が見られなかった。そこで本年は、実験期間を5日間にして検討を行った。マウスを5群に分け、飲水は1群に水、2~5群に2%DSS溶液を、飼料は3~5群にHTPG混餌を、1と2群に基礎飼料を与えた。GFO混合物は4群に、また昨年の混合投与の影響の検討として、まずOを含有しないGF混合物を5群に1日2回経口投与した。大腸長は、2群(陽性対照群)に対し1群(陰性対照群)と4群は有意に(p<0.05)に長く、3と5群は2群よりも長い傾向であった。また、各マウスより採取した大腸粘膜重量の比較では、1群は2群に対し有意に(p<0.01)重く、4群は2群よりも高値傾向で粘膜保護作用が示唆された。これらの結果より、混合投与の5日目では抑制効果が認められ、現在、5と7日目での大腸粘膜動態の相違を検討している。また、今回の検討でオリゴ糖も予防に有用であることが示唆された。
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