研究課題
最近、日本では食物アレルギー、気管支喘息、アトピー性皮膚炎などの即時型のI型アレルギーが増えている。このI型アレルギーは抗原刺激を受けたマスト細胞が脱顆粒して、顆粒に含まれていたヒスタミンやセロトニンなどの生理活性物質が体内で放出されることによって起こる。そこで、抗アレルギー効果のある成分をみつけるためにマスト細胞の脱顆粒を抑制する物質の検索を行った。その結果、β-グルカンに脱顆粒抑制効果があることが判明した。また、β-グルカンは生体内での即時型アレルギー反応のモデルとして一般的に使われる受動皮膚アナフィラキシー反応をマウスで抑制した。さらに、人に対しての効果があるかどうかを検討した。花粉症患者を対象としてβ-グルカンを経口投与したところ、鼻づまりや涙が出るといった花粉症特有の症状が軽減されることが示された。これらのことから、β-グルカンは即時型アレルギー性疾患を抑制する可能性があると考えられる。次に、精油の脱顆粒抑制効果を調べたところ、ゼラニウム精油がマスト細胞脱顆粒抑制効果を示した。ゼラニウム精油の有効成分を調べたところ、シトロネロールが主な成分であった。シトロネロールは脱顆粒抑制効果に加えて炎症性サイトカインの産生を抑制した。またMAPキナーゼであるERKのリン酸化を阻害した。これらのことより、ゼラニウム精油及びその主成分であるシトロネロールは抗アレルギー効果を持つことが期待される。
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Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry
巻: 80 ページ: 1172-1178
10.1080/09168451.2016.1148573