延長1年処置を頂きまいたが、病状好転せず結果的には、論文作成中であり投稿までには至りませんでした。 現時点では、慢性腎臓病(非透析)382例(男207例,女175例,年齢51±17歳)を対象とし、血清クレアチニンに影響する問題点を患者の栄養食事記録から選択し、食生活習慣,栄養素等摂取不良,食環境要因,社会的背景の4分野に分け、患者の性別、年齢別、ステージ別による問題点の特徴を検討した。血清クレアチニン、臨床検査値とこれら4分野との関連性はパス解析を行った。 栄養教育上一番目の問題は、食生活習慣(外食・中食,欠食,治療用特殊食品未利用)、二番目には栄養素等摂取量(エネルギー・食物繊維摂取不足,たんぱく質過不足,カリウム・リン・食塩摂取過剰)が挙げられた。パス解析では、栄養素等摂取量、臨床検査値は血清クレアチニンの上昇に直接的な影響をもち、食生活習慣、食環境要因、社会的背景の3分野が、栄養素等摂取量と臨床検査値を介して、間接的にも影響することが明らかとなった。栄養教育では、社会的背景を考慮することの重要性が示唆された。 次に考案した栄養教育媒体は、慢性腎臓病(非透析)222例(男139例,女83例,年齢55±9歳)を対象とし、栄養教育に導入。栄養評価は、患者には自己評価を記入させ、管理栄養士は食事管理の実践度の確認、前回の問題点、栄養評価、計画を重点的にチェックし、栄養評価表の充足率に従って判定を実施した。双方結果の相違点を分析し、到達意識の是正を図った、foll-up計画はSOAP方式で記入し次回までの教育計画を立案。臨床検査値(血清クレアチニン、尿素窒素など)、栄養素等摂取量の充足率は改善傾向を示した。家庭での食事管理の継続が可能となった栄養教育媒体は有用であった。また今回用いた自己管理評価と栄養評価表は、患者との相違点が容易に知り得、今後栄養教育への導入の必要性が示された。
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