食品から抗インフルエンザウイルス作用を示す成分を検索を行うために、食品抽出物のスクリーニングを行った結果、はと麦茶に抗ウイルス活性があることが判明した。さらにはと麦茶に含まれる原材料のうち、はと麦、裸麦、大豆抽出物に活性を確認し、その中でも最も強い活性を示した大豆から抗インフルエンザウイルス作用を示す有効成分の検索を行うこととした。その結果、分取LCにてアセトニトリル濃度が20‐40%の範囲で溶出されてくる物質で活性が確認できたため、ポリフェノール系の物質ではないかということが予測された。さらにLC/MSにおいては、活性の確認できた範囲内に分子量254の共通したピークが見られた。この結果より、ダイゼインが大豆中の有効成分の1つである可能性が示唆された。このためダイゼインの活性試験をIn vitroにおいて行ったところ、抗インフルエンザウイルス作用を示すことが確認された。また、ダイゼインはウイルスの吸着は阻害せず、増殖段階を阻害していることも判明し、そのメカニズムとしてはウイルス自体に作用しているのではく、細胞になんらかの影響を与えている可能性が考えられた。さらにダイゼインを多く含む発酵豆乳をインフルエンザ感染マウスへ摂取させたところ、体重回復を促す可能性が示された。この結果より、In vivoにおいてもウイルス自体に作用しているのではなく、宿主側へ影響を及ぼすことにより、インフルエンザウイルスから生態を防御している可能性が示唆された。
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