研究課題/領域番号 |
24501019
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 中村学園大学 |
研究代表者 |
大和 孝子 中村学園大学, 栄養科学部, 准教授 (70271434)
|
研究分担者 |
青峰 正裕 中村学園大学, 栄養科学部, 教授 (60091261)
西森 敦子(西山敦子) 中村学園大学, 栄養科学部, 助手 (90461475)
仁後 亮介 中村学園大学短期大学部, 食物栄養学科, 助手 (20565767)
松岡 伴実 中村学園大学, 栄養科学部, 助手 (80637033)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | カテキン / 糖尿病 |
研究概要 |
本研究では、糖尿病状態のストレスに対する影響については明らかではないため、高濃度のカテキンを含む緑茶飲料の摂取がストレスを負荷した糖尿病ラットに及ぼす影響について調べた。実験動物として8週齢のWistar系ラット(健常ラット)及びSTZを投与した糖尿病ラット(DMラット)を用いた。健常ラット及びDMラットをそれぞれ水摂取群(水群)と市販の緑茶飲料(茶カテキン含有量154mg/dL)摂取群(茶群)に分け、それぞれ14日間自由摂取させた。さらに水及び茶群にストレス[電気ショック(0.5mA、10秒/分、30回/日)]を7日間負荷した群をそれぞれ水+ストレス群及び茶+ストレス群とした。測定項目は体重、食餌量、飲水量、血糖値、血清中のコルチコステロン、抗酸化力、酸化ストレス度、一酸化窒素(NO)である。体重は7日間のストレス群において、健常ラットでは水、茶群ともに体重の抑制がみられた。一方、DMラットではいずれの群間においても変化はみられなかった。血糖値は健常ラットではストレス負荷により水、茶群ともに有意に上昇したが、DMラットでは変化はなかった。コルチコステロンはDMラットでは茶+ストレス群で健常ラットより有意に低下した。NOはDMラットが健常ラットより低値を示し、さらに茶の摂取により水群より有意に減少した。ストレスホルモンであるコルチコステロンが茶の摂取により減少する傾向がみられたことから、茶はストレス抑制効果があることが考えられる。また、1型糖尿病において過剰なNO産生は、糖尿病悪化や合併症に関与していることが知られていることから、茶の摂取によりNOが有意に減少したことは、糖尿病状態を少なからずとも改善した可能性が示唆された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ラットを用いたマイクロダイアリシス実験は、脳の定位手術等かなりの技術的テクニックを要するが、データを蓄積できるだけのレベルに達していないことがやや遅れている理由である。また平成24年度は、カテキン投与によるストレスを負荷した糖尿病ラットに及ぼす体重、食餌量、飲水量、血糖値、血清中のコルチコステロン、抗酸化力、酸化ストレス度、一酸化窒素(NO)の影響について優先して実験を行った。
|
今後の研究の推進方策 |
現在までの達成度がやや遅れているため、今後はマイクロダイアリシス実験を重点的に行っていきたい。併せて、うつ状態が持続すると神経伝達物質であるセロトニン量が減少し、満腹中枢への伝達障害が起こり、肥満を招くことが知られていることから、糖尿病マウスおよびラットを用いて摂食量、摂水量および自発運動量とカテキン投与との関連を脳内神経伝達物質レベルと併せながら実験を進めていきたい。
|
次年度の研究費の使用計画 |
実験のための動物代、マイクロダイアリシス実験用プローブおよびカテキンなどの試薬類、血清中の抗酸化力および酸化ストレス度測定用テストキット等消耗品に対する使用が主である。また、昨年度予定していた国際学会への参加が不可能となったため、その予算を今年度へ繰り越した経緯がある。今年度は9月にスペインのグラナダで開催される第20回International Congress of Nutritionにて研究成果の発表を予定している。さらに国内の学会発表としての旅費を使用予定である。
|