研究課題/領域番号 |
24501019
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研究機関 | 中村学園大学 |
研究代表者 |
大和 孝子 中村学園大学, 栄養科学部, 准教授 (70271434)
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研究分担者 |
青峰 正裕 中村学園大学, 栄養科学部, 教授 (60091261)
西森 敦子 (西山 敦子) 中村学園大学, 栄養科学部, 助手 (90461475)
仁後 亮介 中村学園大学短期大学部, 食物栄養学科, 助手 (20565767)
松岡 伴実 中村学園大学, 栄養科学部, 助手 (80637033)
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キーワード | カテキン / ストレス / 食行動 |
研究概要 |
本年度は、緑茶が発達期の心理的ストレスに対してどのような影響を及ぼすか、隔離飼育ストレスを負荷した発達期マウスを用いて集団飼育マウスと比較検討した。実験動物は健常マウス(C57BL/6N、5週齢)を用いた。投与物は市販の緑茶飲料および水を用いた。投与方法は集団飼育健常マウスを水摂取群(以下水群)と緑茶飲料摂取群(以下茶群)に分け、自由摂取とした。さらに水および茶群にストレス〔隔離飼育〕を3週間負荷した群をそれぞれ水+ストレス群、茶+ストレス群とした。3週間の緑茶飲料投与飼育後2日間の順化期間を置いたのち、それぞれ回転かご式測定器を用いて自発運動量の測定を2週間毎日行った。併せて体重、食餌量、飲水量の測定も同様とした。空腹時血糖値は、自発運動量測定開始前後に測定した。実験終了後の血清中の酸化ストレスおよび抗酸化力は、それぞれフリーラジカル評価システムにより測定を行った。その結果、体重は3週間の隔離飼育ストレスを負荷することで、水+ストレス群は低下傾向を示したが、茶+ストレス群はほとんど変化はなかった。また2週間の自発運動量測定期間中の体重は、ストレスを負荷した両群ともに減少傾向を示した。食餌量、飲水量においても体重同様、ストレス負荷により、茶・水群ともに低値を示した。測定期間における自発運動量の平均値は、水群ではストレス負荷により有意に減少したが、茶群ではストレス負荷による変化はみられなかった。血糖値は、3週間の隔離飼育ストレスにより茶群が水群に比べ有意に低下した。一方、2週間の自発運動量測定後の血糖値および抗酸化力は、いずれの群間においても有意差は認められなかった。酸化ストレスは茶群が水群に比べ有意に高値を示し、さらにストレス負荷により、茶・水群ともに酸化ストレスは上昇傾向がみられたが、これらについては今後の検討課題である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ラットを用いたマイクロダイアリシス実験は、脳の定位手術等かなりの技術的テクニックを要するが、データを蓄積できるだけのレベルに達していないことと現在所有しているマイクロダイアリシス・モノアミン分析システムは購入後15年を経ており、度重なるメンテナンスのため、実験に要する時間が確保できていないのがやや遅れている理由である。そこで、平成25年度はカテキン投与による精神的ストレスを負荷したマウスを用いて、体重、食餌量、飲水量、血糖値、血清中の抗酸化力、酸化ストレス度および自発運動量についてストレス負荷無し群との比較実験を優先して行った。
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今後の研究の推進方策 |
現在までの達成度がやや遅れているため、今後はマイクロダイアリシス実験を重点的に行っていく予定である。併せて、うつ状態が持続すると神経伝達物質であるセロトニン量が減少し、満腹中枢への伝達障害が起こり、肥満を招くことが知られていることから、糖尿病ラットおよびマウスを用いて、摂食・摂水量および十字迷路による行動とカテキン投与との関連、さらに発達期におけるストレス負荷は、味覚嗜好に影響を与えることが知られていることから、精神的ストレス負荷と脳内神経伝達物質レベルとも併せて実験を進める予定である。また、今年度は8月に台湾で開催される第6回アジア栄養士会議にて研究成果を発表する予定である。その予算を昨年度分より今年度へ繰り越し使用する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度は、糖尿病ラットを用いたマイクロダイアリシス実験が遂行できなかったため、その当該年度の執行が遅れている。 次年度には、上記のやや遅れているマイクロダイアリシス実験および酸化窒素分析システムに使用する動物、試薬類、消耗品等、また、国際学会(第6回アジア栄養士会議、台湾)、第68回日本栄養・食糧学会(札幌)、第24回日本清涼飲料研究会(東京)にて研究発表を行うための旅費、研究成果としての論文投稿印刷費としてすべて使用する予定である。
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