研究課題/領域番号 |
24501023
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研究機関 | 中村学園大学短期大学部 |
研究代表者 |
寺澤 洋子 中村学園大学短期大学部, 食物栄養学科, 教授 (50390307)
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研究分担者 |
福松 亜希 中村学園大学短期大学部, 食物栄養学科, 助手 (90637141)
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キーワード | 骨密度 / 思春期 / 食習慣 / 運動習慣 / 腹囲 / 肥満度 |
研究概要 |
【目的】骨粗鬆症の予防には、成長期において最大骨量(PBM)を可能な限り高めておくことが必要である。しかしながら近年における若年世代のやせ志向は、低年齢(小学生)段階からのダイエット経験者の増大を生じ、骨粗鬆症予備軍としての存在が懸念されている。本研究では、思春期女性(中学生および高校生)の縦断研究により踵骨音響的骨評価値(OSI)に寄与する環境因子を明らかにするために、食事摂取状況、運動・生活習慣などの実態調査を行い検討している。また、得られた知見をもとに若年世代の「食育」に導入することで生活習慣病の予防さらには医療費の削減を目指すものである。 【方法】対象者:思春期の女子中学生および女子高校生の中から、本研究への参加に保護者から同意が得られた193名を分析対象とした。調査期間:平成25年8月7日、22日、27日の3日間であった。調査項目:身長、体重および腹囲を計測し、判定の基準として肥満度および小児メタボリックシンドローム基準の腹囲≧80cmを用いたOSIは超音波骨評価装置で測定した。食事調査(FFQ中村)および運動習慣、生活習慣、健康状態に関するアンケート調査を実施した。統計解析:相関関係の検定にはPEASONの相関関係を用い、2群間の平均値の差の検定には対応のないT検定を行った。 【結果および考察】上記の結果より学年によるOSIについては、中1に対し中2、高1および高2で有意に高値を示し(P<0.01またはP<0.05)、思春期はOSI獲得の途上であることが窺えた。肥満度判定の結果に基づいて検討した結果、中学生期において“やせ群”のOSIは“普通群”“肥満群”に比し有意に低値を示した(P<0.01または0.05)。これより、適正体重の維持は重要であり、食育の必要性が感じられた。また1年間の経年におけるOSIの変化率(△OSI)は中学生期において高く、中学生期はOSIの獲得に重要な時期であることが推察された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでの研究結果から、中学・高校生期はOSIの獲得途上にあることが明らかであり、学年によるOSIの差、OSIと体格(肥満度および腹囲)、月経の有無との関連性および運動習慣との関連性など、OSIに寄与する環境因子が示唆されている。しかしながら、OSIと食物摂取状況との関連性については、長期にわたるデータ集積(経年)の総合的な累積により検討を行う必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
基本的には平成25年度の計画と同様の手法で行う。即ち、保護者から同意が得られた中学生および高校生の女子を対象に、(1)身体計測(身長、体重、腹囲およびOSI:超音波骨評価装置)(2)アンケート調査(食事調査:FFQ中村、運動習慣およびヘルスチェック)を行いOSIに寄与する環境因子を明らかにする。さらに、長期にわたる(経年)累積データより骨強度に及ぼす環境因子について、総合的な検討を行う予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
24年度に購入予定であったソフトウェアの購入を見送ったため。また、学会参加経費を研究機関の予算より支出したため。 食事調査およびアンケート調査の聞き取り段階で人的導入を要する。また次年度は総括年度であり、データの入力などの迅速性を図るため、例年以上の研究協力者としての学生アルバイトの増員を行う予定である。その際、データの解析等で使用するソフトウェアも購入予定である。また、食事調査をする折の食品媒体として、フードモデルを購入する。 その他、学会参加の経費、事務用品(ファイル、USBメモリ、用紙、プリンター用カートリッジ他)に使用する。
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