骨粗鬆症の予防には、成長期において最大骨量(PBM)を可能な限り高めておくことが必要である。本研究では、踵骨音響的骨評価値(OSI)に寄与する環境因子を明らかにするため、成長期(中学生および高校生)における食事・運動習慣などの実態調査を行い、OSIとの関係性について検討した。 実施期間は平成26年度8月25日、26日、29日であった。保護者から同意が得られた生徒の内、調査対象日の欠席者を除く164名を分析対象とした。その結果、OSIは中1に対し中2から高3のすべての学年において有意に高値を示し(p<0.01またはp<0.05)、思春期はPBM獲得の途上であることが推察された。OSIと月経の有無の関係性については、月経無群に対し月経有群において有意に高値であった(p<0.01)。中1~高3の1年間におけるOSIの変化率では、中1から中2における期間において他学年に比しOSIの獲得が大きかったことから、中学生期は、OSIの獲得に重要な時期であることが窺えた。また、肥満度判定により評価された結果に基づきそれぞれ“やせ群”、“普通群”、“肥満群”の3段階に区別しOSIと検討した結果、中学生期において“やせ群”のOSIは“普通群”に比し有意に低値(P<0.05)を示したことから、適正体重の維持は重要であり、「やせ」はOSI増加を阻む一因であることが示唆された。さらに、OSIと肥満度、体重、身長および腹囲の相関はそれぞれr=0.358**(中学生)、r=0.397**、r=0.326**およびr=0.237**と高い正の相関が見られた。 以上のことより、OSI獲得のためには思春期初期からの適正体重の維持は重要であり、特に1年間におけるOSIの獲得は中学生期において顕著であったことから、この時期における望ましい食習慣や生活習慣などの食育の必要性が考えられた。
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