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2012 年度 実施状況報告書

寄生虫性食中毒に対する分子疫学的解析法の確立

研究課題

研究課題/領域番号 24501026
研究種目

基盤研究(C)

研究機関国立医薬品食品衛生研究所

研究代表者

大西 貴弘  国立医薬品食品衛生研究所, 衛生微生物部, 室長 (30321855)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワード寄生虫 / 食中毒 / クドア / 分子疫学 / PCR
研究概要

本研究ではこれまで細菌やウイルス性の食中毒の分子疫学的解析に用いられてきた検査法を寄生虫性の食中毒の疫学解析に応用できるか検討を行うものである。そのモデル寄生虫として現在国内で最も問題となっているKudoa septempunctataを選び、分子疫学的解析法を構築する。今年度はパルスフィールドゲル電気泳動法でKudoa septempunctataを解析する場合の基礎的な条件検討を行った。しかし寄生虫の場合、細菌のように培養して増殖させることができない。そのため、食中毒残品から回収できるDNA量だけでは不十分で、解析を行えない場合が想定された。また、食中毒残品を解析する場合、長期間冷凍保存されていたり、凍結融解が繰り返されていたりしてゲノムDNAが物理的な損傷を受けている可能性が想定された。細菌では実験室で培養すれば損傷の少ないDNA回収できるが、寄生虫は実験室で増殖させることができない場合が多い。そのため、パルスフィールドゲル電気泳動法のように無傷のゲノムDNAが保存されていないと解析できない方法だけでは、寄生虫性食中毒の解析には対応できない可能性が考えられた。そこで本研究では今後、RELP(Restriction fragment length polymorphism)法や温度勾配ゲル電気泳動(TGGE)法のように確保できるDNA量が十分でなかったり、無傷のDNAが確保できない場合にも対応できる方法もあわせて検討していくこととした。今年度はRELP法やTGGE法の基礎的条件も検討を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

パルスフィールドゲル電気泳動法の基礎的条件の検討を行っただけでなく、RELP法やTGGE法の基礎的条件の検討もあわせて行った。これらの結果から、本研究課題で用いる分子疫学的解析法の基礎的条件の検討という本年度の目標を達成できたと考える。

今後の研究の推進方策

今年度の結果から、食中毒残品の保存状態が必ずしも良くなく、パルスフィールドゲル電気泳動法に必要な無傷のゲノムDNAを回収できない事例が多く見られた。また、寄生虫は実験室で培養できないものが多くK.septempunctataもそういった寄生虫のひとつである。そのため、食中毒残品中の寄生虫量が少ない場合にはパルスフィールドゲル電気泳動法に必要なDNA量を確保できない事例も多く見られた。こういったことから、パルスフィールドゲル電気泳動法だけでは寄生虫の分子疫学的解析には対応できない可能性が考えられた。このようなパルスフィールドゲル電気泳動法の欠点を補うために、当初の計画を変更してRELP法およびTGGE法による解析もあわせて検討することにした。RELP法およびTGGE法はパルスフィールドゲル電気泳動法のようにゲノム全長を解析対象としないため、遺伝学的多型性の検出感度ではパルスフィールドゲル電気泳動法より劣ると考えられるが、PCRによるDNA増幅ステップが入るため、少量のDNAからでも解析が行えるという利点を持つ。また、PCRによるDNA増幅を行うため、DNAの損傷が多少あっても解析が行える。これらのことからRELP法およびTGGE法は寄生虫の分子疫学的解析に適している方法であると考えられる。今後、当初の計画に加えてRELP法やTGGE法なども検討していくことにした。

次年度の研究費の使用計画

次年度使用額は2628円と少額であるため、次年度に繰り越し物品費として使用する。

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公開日: 2014-07-24  

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