研究実績の概要 |
本研究では、健康食品を安心・安全、適切な利用が出来る基礎的な環境整備を通して国民の健康の保持・増進および公衆衛生の向上を図るため、利用頻度の高い機能性食品あるいは食品成分に着目し医薬品との併用による相互作用あるいは健康影響や疾病状態での健康食品の利用に関する評価検討を行っている。 初年度は、類似の作用機序を有する降圧剤と血圧が高めの人を対象とした機能性食品成分の併用摂取による薬効への影響や健康影響に関して本態性高血圧モデル動物を用い検討を行った。高血圧モデル動物の収縮期および拡張期血圧に対し併用摂取による影響を認めず、血液生化学指標の結果からも顕著な生理学的健康影響も認められなかった。成果は、国際学会(ICN2013, 9/14-19, Spein)および国際会議(UJNR2013, 12/9, Tsukuba)において発表された。 2年目は、I型糖尿病モデル動物における中鎖脂肪酸を含む油脂(MCT)の摂取による健康影響を検討した。糖尿病患者におけるMCTの利用はケトン体上昇による病態の進行あるいは健康影響が懸念される。これまで顕著な健康影響は認めず、むしろ従来の食用油と比較して高い生存率を示した。現在、それらの原因を継続的に検討中である。 3年目は、II型糖尿病モデル動物における中鎖脂肪酸を含む油脂(MCT)の摂取による健康影響を検討した。これまでのところI型糖尿モデル動物に見られるような延命作用、病態改善などの有効性は認められていない。昨年度の成果は、アジア栄養会議(ACN2015, 2015/5/14-18, Yokohama)で成果報告を行った。 4年目は、2年目に行った実験で観察した高い生存率に及ぼすMCTの効果についてエネルギー代謝を中心に解析を行い、成果を学会発表(日本食品科学工学会西日本支部会, 2015/10/30-31, 沖縄)と論文投稿中である。さらに、抗糖尿病作用を有する食事因子との併用効果についての検討を行い、現在分析中である。
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