研究課題/領域番号 |
24501028
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 独立行政法人国立病院機構(京都医療センター臨床研究センター) |
研究代表者 |
津崎 こころ 独立行政法人国立病院機構(京都医療センター臨床研究センター), 臨床研究企画運営部, 研究員 (80450881)
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研究分担者 |
坂根 直樹 独立行政法人国立病院機構(京都医療センター臨床研究センター), 臨床研究企画運営部, 室長(予防医学) (40335443)
小谷 和彦 自治医科大学, 医学部, 講師 (60335510)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 脂質代謝 / 時間栄養学 / 生活習慣病 / 食事指導 |
研究概要 |
生活習慣病ならびに肥満を有する者の食事パターンを解析するために,食事時間に注目した食事調査(3日間食事記録を対象者へ依頼し,管理栄養士による栄養解析を実施)ならびに生活習慣について聞き取りを実施した.生活習慣病を有した女性42名(59±11歳,23.9±3.1kg/m2)を対象に身体組成,血清脂質等を測定した.食事時間など生活習慣については自己記入式アンケート調査を行い,朝型・夜型質問票(MEQ)ならびにピッツバーグ睡眠質問票も実施した.リポプリントシステムを用いてsmall dense LDLの割合を算出した.Clock遺伝子の3’非翻訳領域にある3111T/C多型については,fluorescent allele-specific DNA primary assayを用いて解析した.身体組成ならびに血清脂質値ではClock両群間で差はなかった。MEQはTT群で高い傾向であった.生活習慣アンケートより,TC/CC群と比較してTT群では,朝食を摂る時間も有意に早かった(6:24 vs. 7:10; p=0.031).しかし,一日の最後に食事を摂る時間が遅く(19:14 vs. 18:16; p=0.040),食べてから就寝までの時間が短く(4.2±1.5 vs. 5.3±2.3 時間; p=0.045),絶食時間が短かった(12.3±1.7 vs. 14.0±2.6時間; p=0.016).以上から朝型タイプが夜遅い食事を摂るとsmall dense LDLを有する可能性が示唆された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
生活習慣病を有する者へ食事時間に注目した聞き取りを実施し,small dense LDLを有するパターンを解析した結果,女性では朝型タイプの者が夜遅い食事をするとsmall dense LDLを有する可能性が示唆された.朝日を浴び朝食を摂ることが体内時計をリセットする原点といわれているが,昨年日本肥満学会シンポジウムにて,朝食を摂っていても夕食時間が遅くなると絶食時間が短くなり,結果的に朝の体内時計リセットが乱れてしまう動物実験の結果が報告された.このことから,本研究における臨床面からのアプローチは上記動物実験の結果と非常に近いところに着目していると感じられた.
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今後の研究の推進方策 |
引き続き対象者を増やすとともに,時計遺伝子の動態に注目した解析を遂行していくこととする.すなわち,small dense LDLを有する者の時計遺伝子の動態を有さない者とで比較し,これらを食事パターンや生活パターン(朝型・夜型)と併せて検証し,small dense LDLと時計遺伝子との関連を明らかにしてくこととする. また聞き取りの結果から男性対象者は飲酒の考慮が必要とされたため,飲酒習慣のある者の食事パターンと時計遺伝子との関連について解析を進めていきたいと考える. さらに,個人のライフスタイルに併せたエネルギーや食事内容だけでなく,いつ食事を摂ると良いのかという新たな視線での食事指導が展開させていくために,日勤や交代勤務者の生活リズムの実態を調査し,体重や中性脂肪値に着目してリスト化することも進めていきたいと考える.
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次年度の研究費の使用計画 |
昨年度に引き続き対象者を増やすとともに,時計遺伝子の動態に注目した解析を遂行していくこととする. さらに,時計遺伝子群についてやsdLDLについての情報を対象者へ返却するための資料・媒体を管理栄養士とともに考案する.説明文には専門用語をなるべく使わず,イラストを用いて一目見て理解できる資料を心がける.sdLDLは中性脂肪との関係も示すために,血液状態を再現できるような媒体を作成する.
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