研究課題/領域番号 |
24501028
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研究機関 | 独立行政法人国立病院機構(京都医療センター臨床研究センター) |
研究代表者 |
津崎 こころ 独立行政法人国立病院機構(京都医療センター臨床研究センター), 臨床研究企画運営部, 研究員 (80450881)
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研究分担者 |
坂根 直樹 独立行政法人国立病院機構(京都医療センター臨床研究センター), 臨床研究企画運営部, 室長(予防医学) (40335443)
小谷 和彦 自治医科大学, 医学部, 准教授 (60335510)
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キーワード | 時間栄養学 / 生活習慣病 / 食事指導 / 脂質代謝 |
研究概要 |
医療従事者や工場などの交代勤務者では心血管発症リスクが高いことが報告されており,不規則な生活リズムや生活習慣が原因のひとつとして考えられている.さらに,交代制勤務によって肥満やメタボリックシンドロームのリスクが高くなることも報告されている. 今回我々は,協力施設に勤務する男性で日勤勤務者(38名,47±10歳)ならびに交代勤務者(13名,42±11歳)を対象に,6か月間の生活習慣予防プログラム(1回2時間,計3回,医師・管理栄養士・研究員による講義とグループ支援,行動目標設定・セルフモニタリングなど行動変容の理論に基づく)を実施し,介入前後の検診結果を用いて日勤勤務者と交代勤務者との差異について検討した. 両群の介入前の体重に差はみられなかったが(71.6±8.4 vs. 74.3±8.3 kg; p=0.307),介入前後において交代勤務者と比較して日勤勤務者では体重減少量が有意に大きかった(-1.5±3.1 vs. 1.0±3.7 kg; p=0.016).朝型・夜型質問票(MEQ)より,日勤勤務者と比較して交代勤務者は有意に点数が低く(19±1 vs. 15±1 点; p=0.005),平均睡眠時間も短かった(6.5±0.9 vs. 5.7±0.6時間; p=0.005).交代勤務者へのアンケート調査の結果から,交代勤務に就いてから体重が増加した理由として1)22時以降の食事が増えた,2)インスタント食品が増えた,3)間食が増えたなどが挙げられた. 以上から交代勤務者など生活リズムがなかなか変えられない者に対して「いつ食べるか,何を摂るか」に着目した食事指導法を確立することが急務であると考えられた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
生活パターンの異なる日勤勤務者ならびに交代勤務者に対して減量を目的とした教室を同時に実施した結果,交代勤務者は日勤勤務者と同じプログラムでは体重が減らないことが示された.また交代勤務者は夜型嗜好であることや睡眠時間が少ないことも示され,生活リズムによる両者の差異を明確に示すことが出来た.さらに食事摂取パターンや食事量についての聞き取りを実施し(管理栄養士による食事記録票の評価や食事記録の解析など),解析が進められている.
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今後の研究の推進方策 |
引き続き対象者を増やすとともに,時計遺伝子の動態に注目した解析を遂行していくこととする.さらに,生活様式の違いや生活習慣病の有無などによる食事摂取パターンや食事量についてデータベース化する.また,これらの情報を元に「いつ食べるか・なにを食べるか」に着目した新たな視線での食事指導を展開させていくための指導資料や媒体作成を行う.さらに本研究に同意を得た生活習慣病や肥満を有する対象者へ,分担研究者や研究協力者と一緒に生活習慣病予防プログラムを実施し,実際に資料や媒体を利用した感想をアンケートにより対象者から聞き取る.
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次年度の研究費の使用計画 |
おおむね執行されているが,時計遺伝子mRNAに関する検査を今年度は実施していないため,次年度使用とした. 時計遺伝子mRNAに関する検査を実施するため,mRNA抽出用スピッツを準備し,検査を実行する.
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