本年度は,海外における人財育成の場において,日本水準,日本基準などをいかに外国籍の研修生に伝えるかを調査することにあった。調査対象は,日本郵船(株)が要求する船員を日本郵船が独自にフィリピンに運営する海事大学および,日本郵船の船員トレーニングセンターおよび対比できるように現地の私立大学でトップ3に入るデラサール大学である。 国内における事前調査では,フィリピン現地の教育手法,教育レベルは日本国内および他国の教育と大きな差を見出せなかったが,現地調査および長時間のヒアリングにより,研修生の意識の違い,そしてそれによる現地指導者の対応の特殊性が見いだせた。とくに, 1.フィリピンは日本における大学進学年齢よりも1年早い17才までに中等教育が終了しており,多くの国との教育格差が高等教育および就業に現れている。 2.大学間の教育比較に国立ほど消極的であり,教育水準の向上化活動が乏しかった。 3.経済事情以上に経済観念が大きく違っており,その観念の理解はこんなんであった。 以上より,本研究の目的である仮想事例の作成時に加えるコンテックスすなわり,倫理的判断に影響を及ぼすコンテンツがより明確になった。とくに,これまで日本が海外生産拠点を中国から他のアジア諸国に移行している中で,注目されているフィリピンへの製造における技術者倫理教育に対する方策のデータを得ることができた。
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