研究課題/領域番号 |
24501035
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
川村 教一 秋田大学, 教育文化学部, 准教授 (80572768)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 男鹿半島 |
研究概要 |
秋田県男鹿半島ジオパーク内で行う理科・地学の野外観察実習についての教材開発,野外実践を行い,以下の成果が得られた. 野外観察地として,地層(火山灰層を含む)と化石観察は男鹿市の通称安田海岸,岩石の観察には男鹿市加茂青砂の海岸,地質構造の観察には男鹿市台島および脇本の露頭,および寒風山の火山地形がそれぞれ適切であることが判明した. これらをもとに小学校および中学校理科の地層に関する野外学習の一環として,安田海岸の露頭での地層観察指導を行った.学習では,層理面と地層の広がり,化石の産状,礫,砂,泥,亜炭,火山灰などの観察と地層のスケッチ記録を行わせ,学習成果を検討するためのデータとした. また,児童生徒の化石採集の関心などデータ収集は調査紙法によるアンケート調査で行った.(対象児童・生徒:秋田県大仙市立A小学校6年生39名および大仙市立B中学校1年生36名,大館市立C中学校1年生55名.) アンケート調査の集計では,例えば中学生対象の事前アンケート調査(N=91)の設問「化石は好きですか」に対する回答として,「好き」は87.9%,「きらい」は12.1%であった。地層からの「化石」,「火山灰」,「石や砂」の採集についての3設問では,「すごくしたい」の回答が全回答者に占める割合はそれぞれ,51.6%,38.4%および37.8%であり,化石採集に対する関心が「火山灰」や「石や砂」よりも高かった.設問「とても貴重な化石について調べるとき,どうするか」に対する回答として,「地層から取り出す」は30.8%,「少しだけ地層から取り出す」34.1%で,約2/3の生徒が化石採集を望んだ. ジオパークで地層の野外学習を行った場合,化石採集を望む生徒に化石採集をさせないで行う学習は,地層に関する学習意欲をそいでしまうことにならないのかについて議論が必要であることが明らかになった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
第1段階:この段階で予定していた,男鹿半島ジオパーク内の野外調査・地質試料の室内分析を終えた.具体的には以下の通り.①理科教育に適した学習地を選定するために,男鹿半島ジオパーク内の露頭選定を完了した.②選定した露頭から地質試料(火山灰層,化石,岩石など)を採取し,室内分析により,理科教育的に模式的な試料であるかどうかを判断した.③上記,①,②により学習地として適切な地点を決定した. 第2段階:この段階で予定していた,教材開発野外学習,事前・事後学習に必要な教材開発について,地層堆積,火山噴火,断層形成,津波のモデル実験についてほぼ開発を終えた. 第3段階:小・中学校-大学連携による野外学習(理科・地質分野)の実践を行う予定であった.秋田県内の小学校および中学校(計3校)の児童生徒を対象とした理科教育の実践を行い,児童生徒の反応に関するデータを得た.
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今後の研究の推進方策 |
ジオパークの教材開発:引き続き野外学習,事前・事後学習に必要な教材を開発する. 中学校-大学連携による野外学習(理科・地質分野)の実践:秋田県内の中学校(1校)の生徒を対象とした理科教育の実践を行い,データの補充を行う. ジオパークにおける野外学習に関する教員対象アンケート調査:小・中学校教員を対象に,野外学習の実施状況,新しく開発したジオパークにおける野外学習についての反応をアンケートで調査し,本研究成果を学校現場に導入する際の課題を検討する. 研究成果の報告:これまでの研究成果の論文化とともに,理科教育学会,地学教育学会・研究会での講演,教員向け研修会を通じて教員向け各種情報提供を行う.
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次年度の研究費の使用計画 |
物品費(190千円):設備備品(ビデオカメラ、理科教育関係図書)、消耗品(プリンタトナー、教材開発消耗品、アンケート調査用封筒、野外調査消耗品ほか) 国内旅費(370千円):成果発表、調査・研究 人件費・謝金(40千円):資料収集整理、研究補助 その他(200千円):バス雇上、調査用自動車レンタル
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