研究課題/領域番号 |
24501035
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
川村 教一 秋田大学, 教育文化学部, 教授 (80572768)
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キーワード | 地学教育 / 理科教育 / ジオパーク / 男鹿半島 |
研究概要 |
秋田県男鹿半島・大潟ジオパーク内で行う理科・地学の野外観察実習について,本研究で開発した教材を用いた野外実践を行い,以下の成果が得られた。 小中学校教員研修および小学校教員養成課程学生を対象とした理科の地層野外観察地として,男鹿市の(通称)安田海岸が適切である可能性が明らかになった。その理由は,この地点において地層観察指導を行ったところ,泥層,砂層,礫層,広域火山灰層,亜炭層,貝類化石,断層,同斜構造,不整合ほかさまざまな地質事象について効率的に地層観察が行えたことにある。また,参加者の観察記録やアンケートを分析すると,露頭情報の読み取りにおいて,礫,砂,泥層の層理面の識別,地質構造を抽出する能力が格段に向上した可能性があることである。特に初めて地層観察をする学生の「石や砂」の採集意欲が高かった。野外観察後は,ほとんどの学生が地層学習の際に露頭の保全に留意しようとし,地層の観察では採集活動を伴わない指導法を取ろうと考える学生が増えた可能性がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度に終えた第1段階(男鹿半島ジオパーク内の野外調査・地質試料の室内分析),第2段階(野外学習教材開発,モデル実験開発),第3段階(小・中学校-大学連携による野外学習(理科・地質分野)の実践)に加え,本年度は第3段階の研究に関するデータ(中学生・大学生向けの教育実践,教員研修)の補足収集を行うとともに,第4段階として行う予定であった,野外学習に関する教員対象アンケート調査を実施した。これは秋田県内の小学校教員および教員志望大学生を対象に,野外学習の実施状況,新しく開発したジオパークにおける野外学習についての反応をアンケートで調査したものである。また,第5段階として行う予定であった研究成果の報告の一部として研究成果の論文化,および各種教育学会での講演を行った。
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今後の研究の推進方策 |
アンケート調査結果の分析:昨年度実施したジオパークにおける野外学習についてのアンケート調査結果を集計し,教員および大学生による反応を分析する。 ジオパークにおける教員研修実践:これまでの研究で開発した教材を用いてジオパーク利用についての教員研修を今後行い,実践の成果と課題に関するデータを追加収集し,分析を深める。 研究成果の報告:昨年度に引き続きこれまでの研究成果の論文化とともに,国内外の理科教育学会,地学教育学会・研究会での講演を通じての成果発表,教員向け研修会を通じて教員向け各種情報提供を行う。
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