研究課題/領域番号 |
24501039
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
山下 修一 千葉大学, 教育学部, 准教授 (10272296)
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キーワード | 理科授業 / 指導方法 / データベース / 教員養成 / コア知識 |
研究概要 |
本研究は,伝統的に培われてきた日本の理科授業の優れた点を若手教員に継承するため,若手教員の苦手意識が強い小学校・中学校第一分野のすべての単元について,指導上のポイントや留意点,教材などのティーチングマテリアル情報をデータベース化し,大学4年生対象「教職実践演習」での授業づくり・模擬授業で試用しながら改善し,教員養成や若手理科教員の研修に用いたり,実際の小・中学校の理科づくりで使用したりして,どの程度指導のポイントや留意点を押さえた授業となるのかを実証的に検討することを目的としている。 平成25年度は,小学校・中学校第一分野のすべての単元について,指導上のポイントや留意点などをデータベース化し,構築したデータベースをWeb上に公開する予定であったが,セキュリティ上の問題から断念することになり,その代りに小学校3年から中学校3年までの全理科単元の指導上のポイントや留意点を記した書籍(山下修一著『一貫した説明を引き出す理科のコミュニケーション活動』東洋館出版社)を出版して,本研究の成果を広く共有することにした。 平成25年度より開始された「教職実践演習」では,小学校課程と中学校課程の理科教育選修の大学4年生約40名を対象にして,出版した書籍を利用した授業づくりや模擬授業に取り組ませた。その結果,現職教員達が留意しているポイントを的確に押さえた授業づくりができるようになり,充実した模擬授業が展開された。 また,シンガポール国立教育研究所の共同研究者とも日本の理科授業を検討する機会を得て,PISAやTIMSSで高得点をあげているシンガポールの理科授業と比較しながら,各単元の指導上のポイントや留意点に関する知見を積み重ねることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初は,小学校・中学校第一分野の全ての単元について,指導上のポイントや留意点,教材などのティーチングマテリアル情報をデータベース化してWeb上に公開する予定であったが,セキュリティ上の問題から断念することになってしまった。その代りに,第二分野全単元の知見も収集し,現職教員らと知見を検討しながら,山下修一著『一貫した説明を引き出す理科のコミュニケーション活動』東洋館出版社に 小学校3年から中学校3年までの全理科単元の指導上のポイントや留意点をまとめて出版することができた。 そして,「教職実践演習」でこの書籍を利用し,これから理科教員になる大学4年生に,伝統的に培われてきた日本の理科授業の優れた点を継承できた。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度には,理科授業論などの大学の授業や市町村の教員研修などにも,小学校3年から中学校3年までの全理科単元の指導上のポイントや留意点を整理した書籍を利用して,授業づくりや模擬授業に取り組ませる予定である。 本研究で得られた知見については,国内では日本理科教育学会と日本科学教育学会で,海外でもASERA Conference 2014やInternational Science Education Conference 2014などで発表して,優れた日本の理科授業の一端を紹介する予定である。
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