研究課題/領域番号 |
24501040
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
松尾 七重 千葉大学, 教育学部, 教授 (70292654)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 算数の基礎教育プログラム / 就学前幼児 / 小学校低学年 / 教師の意識 / 算数科における困難度 / 観察 / 指導 / 授業 |
研究概要 |
本研究の目的は小学校における算数科の学習指導をより滑らかにかつ効果的に実施するために,就学前幼児及び小学校低学年児童を対象とした算数の基礎教育プログラムを開発し,その効果を検証することである。 今年度は,第一に,小学校低学年における「数と計算」及び「量と測定」の指導の問題点を明らかにするために,小学校教師,幼稚園・保育所・こども園の教師又は保育師への質問紙調査を実施し,その結果を分析した。結果として,数と計算,量と測定領域の内容に対する,小学校教師と幼稚園等教師との意識について,長さ,かさ等の測定,時計の読み方・表し方に関する内容に関する差異が顕著であることが明らかになった。この差を埋めることで,小学校算数教育と就学前教育の円滑な接続への示唆を得ることができる。また,小学校教師が小学校低学年の算数科において困難性が高いと認める学習指導内容の中で,幼稚園等教師が幼稚園等での活動に直接つながると認めている学習指導内容があること,また,つながらないと認めている学習指導内容の中にも実際にはつながる可能性がある内容があることが分かった。これらの内容には幼稚園等での活動に適切に関連づけることで算数科における問題点の改善可能性があると考えられる。 第二に,現代の幼児の数及び量に関する実態を解明するために,幼稚園及びこども園の活動観察を行った。その結果,年長児で,10までは数えられるが,20以上を数えることは難しいこと,500円で100円支払った場合のおつりは400円であることが分からない年長児が半数いること等が明らかになった。 第三に,買い物ごっこを素材とした幼稚園における指導及び小学校における授業を構想した。25年度に模擬指導を実施する予定である。 以上の研究成果の一部を,日本数学教育学会論文発表会で発表し,千葉大学教育学部研究紀要に掲載した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度の目的である,小学校低学年における「数と計算」及び「量と測定」の指導の問題点を明らかにすること,活動観察を通して現代の幼児の数及び量に関する実態を解明すること,買い物ごっこを素材とした幼稚園における指導及び小学校における授業を構想することができ,その結果の一部を,日本数学教育学会論文発表会で発表し,千葉大学教育学部研究紀要に掲載することができたため。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は,課題:構想した指導及び授業を実施し,その効果を検証する。そのために,以下の5つの項目について実施する。 ①予備指導及び予備授業を実施する。平成24年度に作成した指導計画及び学習指導案を基に,予備指導及び予備授業を行う。(協力学校園等への訪問)②予備指導・予備授業の効果検証のための調査を実施し,その結果を分析する。指導及び授業前後で質問紙調査及び面接調査を行い,理解の向上を確認し,同時に,指導要因を明らかにする。(調査補助及び調査結果分析補助)③この結果を基に,指導計画及び学習指導案を修正し,本指導及び本授業の実施計画を立てる。④指導要因を生かした本指導及び本授業を実施する。(協力学校園への訪問)⑤要因を生かした本指導及び本授業の効果検証のための調査を実施し,その結果を分析する。指導及び授業前後で質問紙調査及び面接調査を行い,理解の向上を確認する。(調査補助及び調査結果分析補助)⑤研究成果を発表する。これまでの研究成果を,国際数学教育心理学会,日本数学教育学会論文発表会,日本科学教育学会年会,日本保育学会等で発表する。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度は,課題:構想した指導及び授業を実施し,その効果を検証する。そのために,以下のように研究費を使用する計画である。 ①予備指導及び予備授業,本指導及び本授業の実施のため,協力学校園等を訪問する。(旅費及び会議費,教材費等) ②予備指導・予備授業,本指導・本授業の効果検証のための調査を実施し,その結果を分析する。(調査補助及び調査結果分析補助,印刷用紙・インク,ファイル,デスクトップコンピュータ,ビデオカメラ,デジタルカメラ,DVDディスク等) ③研究成果発表及び資料収集のため,学会・研究会等に参加する。これまでの研究成果を,国際数学教育心理学会,日本数学教育学会論文発表会,日本科学教育学会年会,日本保育学会等で発表する。(旅費,学会参加費等) ④来年度以降は,今年度の成果をまとめて,同専門分野の方のレビューを受けたり,研究発表を行ったりする。また,開発したプログラムの普及に努める。(旅費,学会参加費,HP作成費等)
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