研究課題
本研究は、送信点とは別の地域に多数の受信地点を設置し(多地点観測法)、流星飛跡に沿って生じるプラズマに反射した電波(以下流星エコー)を受信して、流星実経路を求め、その力学運動より流星の諸パラメータを求める教材の開発を目指している。本研究の目的の一つに実習用流星電波干渉計の開発がある。これを観測点の少なくとも1地点に配置し流星の飛来方向を検出し、他の各観測点では流星エコーの到達時間差と送信点-流星-受信点の距離データを取得して、これらを組み合わせて高精度の流星実経路を求める。本年度は26年度から開発しているデジタルダイレクトサンプリング方式流星電波干渉計の評価実験に向けて、最初にアナログで開発した干渉計受信機でアンテナの特性評価を主に行った。試験基準信号を送信して、各アンテナ間の位相差を検出することを試みた。その結果、アンテナ間の位相の違いは認められたものの、その方位については、観測波長が長いこともあり(6m)、地上付近のわずかな凹凸物の影響やまわりの高い建物の影響で正しい方位を示さない場合があった。そこでアンテナの設置位置を工夫した結果、方位による位相差の相関が改善するようになりつつある。各アンテナデータに補正のパラメータを加え、正しい方位が得られるよう試みているところである。多地点流星観測法は、各観測点が遠隔地にあるため動作状況の確認や緊急時の対応は実際に観測地点に行かなければならない問題があった。そこでインターネットを活用したリモートモニターを開発して動作状況確認やメンテナンスが1地点からできるようにし、その成果発表を行った。開発した教材の一部は、実際に実習授業や観測協力大学の卒業研究等で使用した。特に各観測点の流星エコー到達時間差から流星飛跡を求める方法はほぼ確立した。この方法は開発時から実習授業に取り入れられ、13年間に及ぶその教育的実績の成果発表を行った。
すべて 2017
すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (3件)
東京大学大学院理学系研究科・理学部技術部報告集
巻: 11 ページ: 14-17